野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
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鳥獣保護法に関するヒアリング意見

 

改正鳥獣保護法にもとづく基本の策定案に意見

 2006年10月20日〜11月19日の1カ月間、鳥獣保護法の改正にもとづき、国の基本指針の改定案がパブリックコメントにかけられました。当ネットワークでは、11月16日付けで、以下の意見を提出しました。

<参考>
→「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」(案)に関する意見の募集(パブリックコメント)について(結果)(H18.10.20〜H18.11.19実施)


野生生物保護法制定をめざす全国ネットワークの意見

<該当箇所>
T 第一 1 基本的な考え方
<意見の要約>
 最初の3行の中に野生鳥獣は国民の共有財産であると明記すべきである。
<意見及び理由>
 2006年2月に中央環境審議会でまとめられた答申で、野生鳥獣が国民の共有財産であることが明記されている。その理念を踏襲する上で、基本的な指針においても明記すべきである。

<該当箇所>
I 第一 1 基本的な考え方
<意見の要約>
 「個体数管理、生息環境管理及び被害防除対策」と明記されている。最も重要な対策は、被害防除対策であり、つぎのように変更すべきである。「被害防除対策、生息環境管理及び個体数管理」
<意見及び理由>
 野生鳥獣の軋轢問題は、総じて被害問題が主であり、まず被害対策と生息地管理を行なった上で、個体数管理をすべきである。

<該当箇所>
I 第一  1 基本的考え方
<意見の要約>
 「現代における狩猟は、主にスポーツや趣味・娯楽として行われているが、鳥獣を捕獲するという限りにおいて鳥獣の個体数調整の手段として、鳥獣による被害の未然防止に資する役割も果たしている」と修文する。
<意見及び理由>
 狩猟で生計を立てている人はほとんど存在せず、おおむね趣味やスポーツとして行われている。狩猟の現実を正しく指摘しなければ、基本方針自体が間違うことになる。以下、狩猟に関する記述はすべて修正するべきである。

<該当箇所>
I 第一  2 (1)鳥獣保護管理
<意見の要約>
 特定鳥獣保護管理計画で対象となっている種名としてイノシシ、シカ、サル、カワウについて明記されているがクマ、カモシカについて触れていな> い。「絶滅の恐れのある鳥獣」を「絶滅の恐れのあるクマ」とすべきである。
<意見及び理由>
 カモシカに関する記述は、34頁、一カ所のみなど特定鳥獣であるクマやカモシカに関しての記述が不十分である。広域的な保護管理が必要な種としてカワウとツキノワグマがワーキンググループ(WG)で議論され書類上、カワウとツキノワグマが対象となる記述 がされていたが、基本指針での言及はカワウのみで、ツキノワグマは「等」と示されているが、国としてどのように対応するのか種名を明記すべきである。  

<該当箇所>
I 第一 2 (5)国際的な取り組みの状況
<意見の要約>
 国際的な取り組みとして渡り鳥があげられているが、海生哺乳類に関する記述は、されていない。ジュゴン、アザラシは、鳥獣法の対象種として上げられており、具体的な方針、取組みを明記すべきである。適用除外種に関しても、国際的な取組を国の責務として果たしていくべきである。
<意見及び理由>
 ニシコククジラやジュゴンは、IUCNから保護のための勧告が出されており、国際的な取組が必要であると指摘されている種である。今後、ボン条約批准を皮切りに、具体的にどのように取り組むのか指針を示すべきである。

<該当箇所>
I 第一 3 (2)人と鳥獣の適切な関係の構築 ア 
<意見の要約>
 前記したとおり、ここでもツキノワグマに関する記述がされていない。生息数が減少し、地域的に絶滅のおそれが生じているツキノワグマについてどのように保護管理、被害対策など指針を明記すべきである。
<意見及び理由>
 特定鳥獣保護管理計画ワーキンググループにおいて、クマの広域的な保護管理を行なっていく方針が示されている。イノシシ、シカ、サル、カワウについては、種名を明記して記述しているが、地域的に絶滅のおそれのあるクマについても、種名を明記すべきである。

<該当箇所>
I 第一 3 (2)人と鳥獣の適切な関係の構築 イ 
<意見の要約>
 狩猟者に関して保護管理の担い手と明記されているが、狩猟者の中には、スポーツ・ハンターも含まれていることから区分けして明記すべきである。
<意見及び理由>
 狩猟者の中には、行政職員が自ら狩猟免許を持ったガバメント・ハンターや担い手となる狩猟者、スポーツ・ハンターなどが含まれることから、各役割を具体的に明記すべきである。

<該当箇所>
I 第一 3 (2)人と鳥獣の適切な関係の構築 ウ 
<意見の要約>
 科学的・計画的な保護管理には、個体数管理、生息地管理、被害対策が含まれる。記述は、捕獲を中心とした考えとして読み取れる。「個体数管理」、「生息地管理」、「被害対策」という3つの言葉を明記すべきである。
<意見及び理由>
 「特定計画制度による鳥獣の保護管理はもとより」と書かれているが、現 状は、特定計画制度の個体数管理が先行している実態がある。生息地管理を重視するためにも、3つの言葉を明記しておくべきである。

<該当箇所>
I 第二 1 制度上の区分に応じた保護管理
<意見の要約>
 希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣、一般鳥獣の4区分の中に鳥獣保護法で対象になった海生哺乳類に関する記述は見受けられない。新たに海生哺乳類の 区分を設け管理の考え方を明記すべきである。 
<意見及び理由>
 種の保存法や外来種対策法などでは、いずれも科学委員会のように学識経験者がどの種を対象にするか審議する仕組みがあるが、鳥獣保護法にその仕 組みがなく、また、国会等で指摘されている海生哺乳類についても公式に審 議されていない現状がある。希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣、一般鳥獣に加 え、海生哺乳類も区分に加え、学識経験者が種を選定する仕組みを設けるべきである。

<該当箇所>
I  第二 1 (1) A保護管理の考え方
<意見の要約>
 自然環境保全基礎調査として「生息状況や生息環境の把握に努める」と 曖昧な記述に止まっている。今回の改正においては、分布拡大が一人歩き し、個体数が増大したか否かは不明のままである。具体的な記述にすべきである。
<意見及び理由>
 先般の国会審議でも分布拡大については、明言しているものの、分布拡大=個体数増という科学的証明はされていない。「生息状況や生息環境、個体数の把握に努める」と明記すべきである。

<該当箇所>
I 第二 1 (2)狩猟鳥獣
<意見の要約>
 狩猟鳥獣の選定の考え方のカテゴリーを見直すべきである。
<意見及び理由>
 狩猟鳥獣の選定の考え方として「ア 狩猟の対象として資源的価値等を有するもの。」「イ 生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害が相当程度 認められ、一般的に狩猟の対象となり得るものとして、その捕獲等により個体数の抑制が期待できるもの。」の二つを上げているが、ノウサギやシマリス、タヌキ、イタチ、アナグマなど選定の考え方に当てはまらない種が狩猟鳥獣となっている現状がある。現状に即した選定カテゴリーを見直すべきである。

<該当箇所>
I 第二 1 (3)外来鳥獣
<意見の要約>
 「外来種」の記述は、見直すべきである。外来種を「本来、我が国に生息地を有しておらず、人為的に海外から導入された鳥獣とする」としている。この記述だと国内移動の外来種は、対象にならないことになる。
<意見及び理由>
 既にタヌキやイタチなど国内移動の外来種が島嶼域で害を出している種いることから、国内移動による外来種も対策が取れる記述が必要である。特に島嶼域では深刻な問題となっている。

<該当箇所>
I 第二 2 (1)広域的な保護管理が必要な鳥獣
<意見の要約>
 広域的な保護管理が必要な種としてカワウとツキノワグマが上げられており、この2種の種名を明記すべきである。
<意見及び理由>
 現在、広域的な保護管理が必要な鳥獣としてカワウとツキノワグマが上げられている。種名を明記し、どのように対策をするのか、分かりやすく記述すべきである。また、「農林水産業等への」という記述があることから海生哺乳類も想定されていると読み取れる。「(3)渡り鳥及び海棲哺乳類」との関連性、仕分けが曖昧である。

<該当箇所>
I 第二 2 (3)渡り鳥及び海棲哺乳類
<意見の要約>
 法の対象となる海棲哺乳類の記述は、わずか3行であり環境省の基本的な指針として体をなしていない。具体的にどのように対処するのか記述すべきである。
<意見及び理由>
 対応策は、「科学的なデータの収集を図る」としているが、既にジュゴン については、科学的なデータが揃っている。「必要な保護管理方策を検討し」と明記されているのみであり、「必要な保護管理方策」が何を指すのか曖昧である。2002年の鳥獣保護法改正時に一部の海生哺乳類が対象とされ、4年が経過している。「必要な保護管理方策」が立てられていないのは問題である。

<該当箇所>
I 第三 1 ○3 広域協議会の設置  ○4 科学的及び順応的管理の推進
<意見の要約>
 広域協議会の構成メンバーとして自然保護団体の参加が明記されているが科学委員会には、自然保護団体の記述がない。自然保護団体も加えるべきである。
<意見及び理由>
 自然保護団体の中にも科学的知見を有した職員もいることから、科学委員会から自然保護団体も積極的にくわえるべき。

<該当箇所>
I 第三 1 (2)技術マニュアル等の整備
<意見の要約>
 これまで技術マニュアルは、インターネットで公開されてこなかったが、 ワーキンググループにおける議論で、公開すると明言されていることから、インターネット等で公開する旨、明記すべきである。
<意見及び理由>
 1999年の鳥獣保護法改正後、特定鳥獣の技術マニュアルが作成されている が、カワウ以外はインターネット等で公開されていないため、関係行政職員や一部の研究者にしか知られていない。技術マニュアルについても広く公開すべきである。

<該当箇所>
I 第三  2  (1) 実施計画の作成の推進
<意見の概要>
 都道府県は、関係市町村が捕獲許可を実施計画に基づき実施する場合、「速やかに捕獲情報を都道府県に報告し、」特定計画に定められた目標数の達成が図られるよう、また捕獲上限数が超過しないように、必要な指示を行うものとする。と「 」内を追加する。
<意見及び理由>
 2004年、2006年のツキノワグマの捕殺数に見られるように、計画があっても目先の有害捕獲が優先し、たちどころに捕獲上限数を超えてしまう。捕獲情報は毎日、毎週、毎月の単位で報告するものとして、放獣の技術や場所の選定などを事前に協議し、捕獲数の上限を超えないように市町村に適切な指示を行うべきである。

<該当箇所>
I 第四 1(1)基本的な考え方
<意見の要約>
 人材の確保は、当初、国家資格など資格制度をクリアした人材を求められていた。国家資格が難しいのであれば少なくとも「資格制度の検討」をどこかに明記すべきである。
<意見及び理由>
 今回想定されている人材は、鳥獣保護員、捕獲従事者、民間団体人材および大学等の4本柱となっている。鳥獣保護員の中に捕獲従事者も混在している。必要な人材カテゴリーを整理すべきである。早急に「資格制度」を検討すべきである。

<該当箇所>
I 第四 1(2)確保を図るべき人材等
<意見の要約>
 求められている人材は、特定計画のみならず広く野生鳥獣の問題に対して対処できる人材のはずである。「特定計画等」とはせず「鳥獣の保護管理等」とすべきである。
<意見及び理由>
 野生鳥獣による被害問題は、特定鳥獣のみならず様々な鳥獣が関わることから「特定計画等」とすべきではないと考える。また、被害対策も重要であることから、被害対策に必要な人材も明記しておくべきである。

<該当箇所>
I 第六 狩猟の適正化 1 1 基本的な考え方
<意見の要約>
 鳥獣の科学的・計画的な保護管理「のためには、適正に狩猟が行われることが重要であり、(略)狩猟による鳥獣の捕獲等が鳥獣の個体数管理に果たす効果等を客観的に検証していく必要がある。」と「 」内のように修文する。
<意見及び理由>
 現状では、狩猟を監視する機能はほとんどなく、錯誤捕獲の報告義務もなく、捕獲統計も数字のみで実数に即しているかも不明である。このような状態では狩猟によって鳥獣の科学的・計画的保護管理がなされると断言できるのか、根拠が疑わしい。

<該当箇所>
I 第六 狩猟の適正化<16頁>
<意見の要約>
 誰が講習を行なうのか主語がない。国が行なうのであれば国と明記すべきである。
<意見及び理由>
 主語がないため、責任の所在が曖昧である。

<該当箇所>
I  第七 傷病鳥獣の取扱
<意見の要約>
 「傷病鳥獣」の名称を適切な名前に変更すべきである。現場で保護される個体は、「傷病」個体は少数で、多くはみなしごである。「傷病鳥獣」と呼ぶべきは、油汚染事故の被害動物程度である。この項の見出しを「鳥獣(野生動物)救護」とすべきである。
<意見及び理由>
 野生鳥獣の救護は、人間による影響で困難に直面した野生動物たちに人道的な手を差し伸べる、というのが本来の救護活動の趣旨であり、それを科学的に行えば、希少種の保護や保護管理に貢献できるというのが、この活動の目的である。
「傷病鳥獣」というのは、野生動物が怪我したり病気になったように、いかにも人間の責任があいまいにされている。重用なのは、野生復帰を通じて生息地を確保・回復させることであり、海外でこの活動がwildlife rehabilitationと呼ばれる理由がそこにある。この活動の中心は、獣医師ではなくリハビリテーターであり、そのためにも、病気で入院のイメージである「傷病鳥獣」をやめるべきである。

<該当箇所>
I  第十一 関係主体の役割の明確化と連携
<意見の要約>
 国の役割のなかに、環境省の出先である地方環境事務所の役割を明確に記述すべきである。例えば、国の役割で、広域管理についての記述のなかで、「都道府県間の連携が円滑になるよう、地方環境事務所を通じて、支援を行う」とすべきである。
<意見及び理由>
 鳥獣保護行政を進める上において、現場に一番近い出先機関の位置付けが重要であり、環境省の出先である地方環境事務所の役割を明確に記述すべきである。

<該当箇所>
II  第三 (2) 狩猟鳥獣
<意見の要約>
 放鳥の科学的な効果が定かでない放鳥事業は廃止し、約4億円の予算を野生動物保護管理のための人材養成など有効な利用をすべきである。
<意見及び理由>
 放鳥事業について、ワーキンググループでは、放鳥事業の科学的妥当性が解明できなかった場合、放鳥事業を取り止めることが議論になったが、関連する記述は一切見あたらない。
環境省の都道府県のアンケートにおいても、放鳥事業を行っている39県のうち、14県が、放鳥の効果はないと答えている。放鳥の際の事前・事後調査を「必要に応じて」ではなく、義務づけ、科学的に検証すべきである。放鳥の際の留意事項として、地域個体群の配慮を義務づけたことは、生物多様性保全上からも重要である。今後、放鳥事業を廃止し、早急に必要とされている野生動物保護管理のための人材養成に、予算を活用すべきである。

<該当箇所>
II 第四 1(3)わなの使用に当たっての許可基準
<意見の要約>
 ワーキンググループでとらばさみは廃止すべきと合意されたにもかかわらず、「近い将来廃止する」という趣旨の記述もなく、使用方法のみ記述されている。獣類の捕獲に関しては、将来的にはくくりわな・とらばさみを禁止すべきである。
<意見及び理由>
 環境省が設置したワーキンググループでとらばさみは廃止すべきと合意されたにもかかわらず、廃止に至らなかったことは、問題である。くくりわな・とらばさみは、錯誤捕獲の可能性が高く、放獣する場合に動物が暴れるなどして取り扱いに高度な技術を要する。時には麻酔をかける必要もある。放獣が困難であるために結局死なせる例が多い。放獣が困難で人にも危険なくくりわな・とらばさみは、それ自体を禁止するべきである。

<該当箇所>
II 第四 1(3)○2イノシシ及びニホンジカの捕獲を目的とする許可申請の場合
<意見の要約>
 許可捕獲も狩猟の規制と同等の扱いをすべきである。
<意見及び理由>
 捕獲の方法は、狩猟においても許可捕獲においても変わりはない。それにもかかわらず許可捕獲の方は規制がゆるく方法に差異がある。一般にはその差異が理解されておらず、しばしば混同されている。許可捕獲も狩猟の規制と同等の扱いをすべきである。

<該当箇所>
II 第四 (3) ○3 ヒグマ及びツキノワグマの捕獲を目的とする許可申請の場合
<意見の要約>
 はこわなに限るものとする。
<意見及び理由>
 「筒型(ドラム缶式)のはこわなに限るものとする」と修正するべきである。鉄格子状のはこわなにかかったクマは、鉄棒を歯で噛みくだこうとするため歯を折ったり口部に損傷を受ける。中が暗い筒型の檻であれば、不必要な外部刺激を軽減させ口に損傷を与えることが少ない。

<該当箇所>
II (4) 許可に当たっての条件の考え方
<意見の概要>
 「有効期間内に目的とする捕獲数に達した場合は、速やかにわなを撤去すること、また期間を延長する場合は、その都度わなの標識を付け替えることとする。わなの設置個数は1日に1回以上見回り可能な個数とする。」と「 」内を加え、修文する。
<意見及び理由>
 有効期間を過ぎても自動延長させて1年中捕獲している例が多々見られる。有効期間が切れてもその上に上書きするなどして期限を偽ることがなされないように、期限が切れたらその都度、標識を付け替えさせるべきである。

<該当箇所>
第2 (5)許可権限の市町村長への委譲
<意見の概要>
 「鳥獣の捕獲許可に係る事務を市町村に委譲した場合は、市町村における捕獲情報を少なくとも月ごとに都道府県に報告するように求め、そのデータを整備して常に全域における最新の捕獲情報を入手するように努めるものとする。」を追加する
<意見及び理由>
 都道府県は、1年に1回年度末を過ぎてから市町村の捕獲の数字を集計しているため、リアルタイムでの捕獲情報を持つことができない。そればかりか、市町村から上がってきた数値が正しいものであるかどうかをチェックする仕組みもない。さらに、都道府県レベルの集計が遅いために国の鳥獣関係統計の集計も2?3年後に公表されることになり、実態把握が常に後手に回っている。少なくとも月ごとに報告を求め集計をしていくべきである。

<該当箇所>
II 第四 1 (6)捕獲実施にあたっての留意事項?ツキノワグマ
<意見の要約>
 クマの学習放獣の際に、衛生部局や畜産部局に配属されている獣医師職員による麻酔薬投与を行えるよう研修等を行い、現場での実施体制の整備を進めるべきである。
<意見及び理由>
 ツキノワグマの学習放獣の際の計測や標識の取り付けのために、麻酔薬の使用が不可欠であるが、現場で獣医師の確保できず、学習放獣を諦める場合がある。麻酔薬(ケタミン)の取扱が厳しくなることからも、クマの有害捕獲の際に、鳥獣担当部局だけでなく衛生部局や畜産部局に配属された獣医師職員が現地に赴き、処置を行えるよう研修を行い、連携の実施体制の整備を進めるべきである。また、学習放獣の技術提供や放獣場所の協議や最終的な放獣判断に、都道府県が積極的に関与すべきである。自治体によっては、このような縦割りを越えた体制の事例もあるため、国としても積極的に推進し波及させるべきである。

<該当箇所>
II 第四  (7) 捕獲物又は採取物の処理等
<意見の概要>
 「特にニホンザルの捕獲個体は、違法捕獲や違法売買を防止する観点から、1頭ごとに個体の顔の写真を取り頭数確認のうえ、速やかに現地で処分すること」を追加する。さらに、錯誤捕獲した個体については「可能な限り放鳥獣すること」を追加する。
<意見及び理由>
 ニホンザルの捕獲には府県や市町村で1頭あたりの報奨金をつけているため、実際の捕獲数よりも多い数が報告されている場合がある。捕獲個体1頭ごとに識別できるように顔写真を添付するべきである。またそれによって違法捕獲や違法売買の防止効果を期待できる。錯誤捕獲は、原則すべて放鳥獣しなければならないことを明記すべきである。

<該当箇所>
II 第四 (8) 捕獲等又は採取等の情報の収集
<意見の概要>
 捕獲等又は採取等の実施者に対し、実施した地点、日時、種名、性別、捕獲物又は採取物、捕獲努力量等についての報告を「求めるとともに、専門家あるいは大学研究機関等に委託して事業報告書を作成すること」と、「 」内を追加する。
<意見及び理由>
 捕獲の許可権限が市町村に委譲されて以来、県では鳥獣の保護管理に関する必要な情報をほとんど収集しなくなり、ましてそれに基づく調査や分析など不可能となっている場合が多い。市町村からの報告を求め、そのデータを専門家あるいは大学研究機関等に委託して事業報告書を作成するべきである。

<該当箇所>
II  第四 1(9)保護の必要性が高い種又は地域個体群に係る捕獲許可の考え方
<意見の要約>
 保護の必要性が最も高い地域個体群は、四国の個体群であるが、記述は「西日本のツキノワグマ」としている。大きな誤りである。四国のツキノワグマ個体群の保全考え方を明記すべきである。
<意見及び理由>
 最も絶滅の恐れの高い四国のツキノワグマ個体群の保全に関する記述がないのは、国としての姿勢を問われる。別項目を立て、四国のツキノワグマ個体群の保全考え方を明記すべきである。

<該当箇所>
II 第四 3?(2)?○1 ?2) 予察捕獲
<意見の要約>
 予察捕獲は、強い害性のみを基準にするのではなく予察捕獲効果の高さも含めた基準で許可すべきであり、科学性のない予察捕獲は原則廃止すべきである。
<意見及び理由>
 特に春グマ駆除は、猟期外の狩猟として実施されてきた経緯があり、冬眠後の胆嚢は商業的価値も高いことが過剰捕獲をまねき、地域的な個体群の減少を招くおそれがある。
 今回、特定計画対象鳥獣について、予察ではなく、特定計画の理念の下での個体数調整を推進する方向性を打ち出すならば、努力義務に終わらせるべきではない。
 他方、科学性を担保するためには、その他の予察捕獲を許可する基準として「常時捕獲を行い生息数を低下させる必要性があるほど強い害性が認められる場合」という被害の強度のみを基準にするのではなく、「生息数が低下することによって被害の減少が認められる場合であって、農林水産業または生態系等にかかる強い害性が認められる場合」というように予察捕獲効果の高さも含めた基準で許可すべきであり、これに類しない予察駆除は、原則廃止すべきである。

<該当箇所>
第四 (6)に追加する事項として ツキノワグマの捕獲情報の集約
<意見の要約>
 都道府県は、実施計画に基づく区市町村の捕獲に際して、過剰捕獲を予防する観点から捕獲情報を市町村から速やかに報告させ、適宜適切な対応を行い、場合に応じて狩猟による捕獲の規制を適宜検討するべきである
<意見及び理由>
 2004年、2006年のツキノワグマの異常出没に見られるように、特定保護管理計画があっても、有害捕獲が優先し、地域個体群の維持に支障の及ぼす状況がありうる。ツキノワグマの捕獲許可業務を市町村に委譲している都道府県は8県あり(中央環境審議会野生生物部会 第2回鳥獣保護管理小委員会 平成17年11月8日 資料3より)市町村による有害捕獲許可と地域個体群の維持について、都道府県は調整を行なわなければならない。実施計画の運用にあたっては目撃情報や捕獲情報を市町村から即時報告するものとし、その推移を常にチェックし、即時対応する(例えば、有害捕獲数が増えた場合に、早急に出没の誘引になりそうな未収穫作物の除去を行うなどの予防策の強化をとる)ようにするべきである。また、有害捕獲の状況にあわせ、狩猟制限措置をとるなどの対応を都道府県は行うべきである。

<該当箇所>
II 第四 5(4)愛がんのための飼養の目的
II  第十 6 鳥類の飼養の適正化
<意見の要約>
 「メジロに限る。1世帯1羽。」の記述があるが、ワーキンググループの合意では、愛がん飼養は、廃止する方向で合意している。愛がん飼養は、廃止すべきである。
<意見及び理由>
 鳥獣の愛がん飼養は、現行では法第3条の規定に基づき、平成14年の「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」では第十に、許可基準を「1世帯あたり1羽、メジロかホオジロに限る」と示している。しかしながら、この基本指針の第十には同時に「鳥獣の愛がん飼養は、鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長するおそれもあるので、飼養のための捕獲または採取の規制の強化に努めるものとする」との基本的見解が明記されている。昭和32年の鳥獣審議会の答申においては「本来は捕獲を禁止すべきものであるが、旧来より飼養の慣行もあるので、制度の運用に当たっては、学術研究、教育参考資料、愛がん飼養のため必要な場合に限り、最小限度においてこれを許可するようにすべきである」、昭和53年の自然環境保全審議会の答申においては、「日本に生息する種類の鳥獣の愛がん飼養を広範囲に認めることは、鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長することとなるおそれがあるので、廃止することが望ましい」とされており、これは愛玩飼養を許可することと矛盾している。

<該当箇所>
II 第九 2?(2) 鳥獣保護員の任命について
<意見の要約>
 鳥獣保護員の活動の確保に対して「他の指導員制度との併任によって活動量を確保する」という付け焼刃的対応ではなく、常勤の専門性をもった人材の確保を目指すべき
<意見及び理由>
 想定されている「自然環境等に関連する他の指導員制度」の詳細が不明であるが、他の指導員制度と併任しても、単に、鳥獣保護業務に当該指導員としての業務が加わるのみ(その指導員としての使命が消えてしまうわけではない)であって、鳥獣保護に必要な活動量が確保できるわけではない。地方自治体の裁量で、鳥獣保護員を常勤とすることができるよう文章を修正すべきである。


 以上

 

 

 

                        
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