野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
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鳥獣保護法に関するヒアリング意見

中央環境審議会野生生物部会:鳥獣保護法に関するヒアリング意見

中央環境審議会野生生物部会第2回鳥獣保護管理小委員会

中央環境審議会野生生物部会で野生ネットの意見聴取が行われました!

 11月8日、環境省中央環境審議会野生生物部会に設置された、鳥獣保護管理小委員会の第2回会合が開かれ、関係団体ヒアリングが行われました。自然保護団体を代表して、野生生物保護法制定をめざす全国ネットワークが意見聴取に招かれ、吉田正人世話人がパワーポイントを使って、当ネットワークの意見を説明しました。以下、簡単に内容をご紹介します。


野生生物保護法制定をめざす全国ネットワークの意見

 本ネットワークは、1999年通常国会における鳥獣保護法改正の議論を受けて、鳥獣保護法の抜本的改正を含む野生生物保護法制の充実をめざして、45団体からなるネットワークとして活動しており、鳥獣保護法に関しては「鳥獣保護法〜ここを変えた9項目」という冊子を昨年発行した。このうち、6項目を重点的に説明したい。野鳥の輸入規制、愛玩飼養禁止などの意見は、この冊子をご覧下さい。

1)鳥獣の種の区分に関する提言

 2002年の法改正で鳥獣保護法第1条(目的)に「生物多様性の確保」が定められ、第2条(定義)に鳥獣とは「哺乳類、鳥類に属する野生動物」という定義がされたことは画期的である。しかし、実際の運用においては、鳥獣を非狩猟鳥獣、狩猟鳥獣と2区分しているのみであり、非狩猟鳥獣であっても駆除目的で捕獲されるニホンザルのような種もあり、また、クマのように「狩猟獣」でありながら、一部に絶滅を懸念される種もある。このような理由から、環境省野生鳥獣保護管理検討会においては、保護上の重要性や保護管理のあり方などから、より現状にあった区分を行うべきだという議論が行われたが、中央環境審議会野生生物小委員会においてはこの点が議論されていない。今後、生物多様性を確保し、鳥獣による農林被害等を解決して適切な鳥獣の保護管理を行う上で、こうした基礎的な鳥獣の区分の見直しは不可欠である。

第80条(適用除外)において、「他の法令によって適切に保護されている鳥獣」は適用除外とされている。具体的には、トド、ラッコ、クジラ類などの海生哺乳類が例外とされている。しかしこれらの種については、科学的な調査も不十分であり、適切に保護されているといえる状態ではなく、将来的には第80条を廃止して、適用除外をなくすべきである。当面の措置として、適用除外種の実態を調査し、適用状況を定期的に見直す科学委員会の設置を提案する。


2)野生生物の広域管理に関する提言

 1999年の鳥獣保護法改正では、野生生物の科学的保護管理をめざす「特定鳥獣保護管理計画」制度が盛り込まれた。本来、野生生物保護管理には、個体数管理だけではなく、農林業等への被害防除、生息地保全が含まれる。しかし、環境省および当ネットワークの都道府県アンケートによると、種ごとの特定鳥獣保護管理計画は個体数調整の効果を評価されているのみであり、被害防除や生息保全には役立っていない。

現場では、被害防除に関してはサル、シカ、イノシシ共通の防護柵が設置され、生息地管理に関しても、人工林化した山林を広葉樹化し、里地への依存を防ぐなどの措置は、種ごとに考えるよりも、自然保護部局と農林部局が、地域単位で地域管理計画を作成した方が有効である。具体的には、複数の県にまたがる山系などを単位として、複数の県が共同して、複数の野生動物に対して、鳥獣保護区の設定、個体群と生息地の管理、被害防除、関係機関の協力などに関する、地域管理計画を作成できるようすべきだ。


3)人材の育成と配置に関する提言

狩猟人口は、1970年台をピークに半数以下に減少しており、年齢構成も50-60歳代が76%を占めている。これまでは、野生生物問題といえば、鳥獣による農林業被害の防除が中心であったため、狩猟者(団体)が、野生鳥獣の保護管理(捕獲)を担ってきたが、鳥獣保護法の目的に「生物の多様性の確保」が加わり、野生生物問題も、希少種の保護、外来種の防除、国際条約への対処など、多様化しているため、野生生物の科学的保護管理に従事できる専門家の配置が必要不可欠となっている。

 現在は、都道府県の鳥獣保護担当職員は、行政職または林業職の職員が担当することが多く、3年前後で異動している。都道府県の鳥獣保護センター、自然保護センター等には、野生生物の専門職員、獣医を配置しているところもあるが、全県平均で哺乳類0.9人、鳥類0.7人と非常に少ない。野生生物の専門家の配置を促進するために、「野生生物保護専門員」の国家資格の創設と、この資格をもった人材が都道府県の担当部署や鳥獣保護センター等に配置されることを提案したい。

人材配置の原資がないことが、専門家配置の妨げになっていると言われるが、現在の目的税の中からだけでも、職員費18億円、鳥獣保護員委嘱費6億円、そして不必要だと考えられる雉などの放鳥費4億円、合わせて28億円の原資がある。もちろん、この一部はすでに自然保護センターにおける専門家の配置などに使われているが、都道府県担当職員のうち行政職員については一般会計でまかない、また鳥獣保護員制度を公募による鳥獣保護推進員制度などに再編すれば、県庁や自然保護センターの専門職員、スタッフの増加に使える原資を生み出すことは不可能ではない。中山間地の人口減少によって、野生生物と人との境界線が大きく変化し、野生生物と人との共存が大きな社会問題となる可能性があることから、狩猟税以外の幅広い費用負担の方法も検討する必要がある。


4)狩猟の場に関する提言

 1978年の自然環境保全審議会において、現在の「狩猟を制限する場」を指定する方式から、「狩猟が可能な場」を指定する方式への変更議論された。しかし合意には至らず、現在は(狩猟期間中であれば)、鳥獣保護区、銃猟禁止(制限)区域、市街地や公道・公園・墓地などを除けば、どこでも狩猟ができる。猟区以外で狩猟ができる地域は乱場と呼ばれている。近年狩猟事故が増加しており、これは狩猟者の高齢化による自損事故も多いが、農作業、山林作業中あるいは、河川等における一般市民の被弾など、いわゆる乱場における第3者への事故も数多く発生している。また、乱場における狩猟行為は、いわゆる自由狩猟であるため、入猟者の数、獲物の種類や数、狩猟方法などの制限がしにくく、捕獲報告も狩猟免許返納時となっているため、リアルタイムの狩猟データが集めにくく、科学的保護管理につながらない。以上の理由から、狩猟の場のあり方を見直すべきだと主張したい。

 当ネットワークは国土を大きく3つに分け、乱場をなくす全国原則禁猟の制度を提案し、2002年の国会に4万人の国会請願署名を提出した。

1,野生生物保護ゾーン 鳥獣保護区、自然公園、自然環境保全地域など、狩猟をせず、生息地保全に資する地域

2,管理狩猟ゾーン 現在の経営猟区以外に、新たに管理猟区などの狩猟が可能な場を設定し、狩猟ができる地域

3,人と野生生物共存ゾーン 市街地・公園・公道・社寺・墓地などのほか上記の1.2以外の土地はすべて3のゾーとし、人と野生生物との軋轢の解消のため、農林業被害防除や科学的根拠にもとづく捕獲が許可されるものとする。

 しかし一方では、狩猟の場の減少を危惧する狩猟団体や、農林業被害の拡大を危惧する農業団体の反対もある。そこで、狩猟による事故の防止、科学的野生生物保護管理を目的として、全国を流域毎にジグソーパズルのようにすきまなく区分けして、パズルごとに保護管理の方針(狩猟の制限)を定めることにより、乱場をなくす方向で検討をすべきではないだろうか。これは丹沢、房総などのシカ問題で、すでに試行されており、法的な根拠を与えれば、科学的保護管理に資するものと思われる。


5)ワナの規制強化に関する提言

近年、狩猟者の高齢化に伴い、わなの使用者が増加している。しかしわなは鳥獣を無差別殺傷し、希少動物も被害を受けるなど生態系に対する悪影響が大きい。また、猛禽類を捕獲し剥製にするために仕掛けられている例もある。依然として無免許、無許可のわなが野放しで設置されている。従って、わな免許を設けるに際しては、以下の制限が必須条件である。

1,わな免許を所持していない者はわなを架設できない。

2,すべてのわなに標識の装着を義務付ける(狩猟、有害ともに)

3,違法なわなを発見した者は、これを撤去することができる

4,有害捕獲の場合でも、わなの設置個数の上限を定める

5,錯誤捕獲の場合は、速やかな放獣を義務づける

6,捕獲個体は苦痛のない方法で速やかに致死させる

7,敷地内での捕獲も許可を必要とする

8,毎日の見回りと周辺住民への情報提供

9,トラバサミは使用を全面禁止(販売・流通を含む)

10,くくりわなは、ストッパー付きのものに限定する

11,くくりわなのうち、胴くくり、首くくり式のものは禁止する

12,くくりわなのワイヤーの太さが4ミリ以下のものは使用を禁止する

 またわなに限定せず、鳥獣保護法違反の罰則を、外来種対策法並に、最高懲役3年、罰金300万円まで引き上げるべきである。


6)野生動物の商業取引に関する提言

 野生動物の商業取引に関しては、野鳥の取引などの大きな問題もある。今回は熊の胆嚢(熊胆)の問題を指摘したい。

日本では昔からクマの身体部分が利用されてきた。以前は毛皮や肉なども利用されていたが、現在でも市場価値をもっているのはクマの胆嚢(熊胆、クマノイ)である。熊胆の用途は内服薬として健胃、鎮痛、鎮痙、利胆、消炎、解熱薬に、外用薬として眼病、痔疾、腫痛にも用いられている。最近では抗がん作用、胆石溶解作用があると宣伝されていることもある。熊胆は胆嚢に入ったまま、胆嚢から取り出し、砕いたり、削ったりした不定形の結晶、または生きているクマの胆嚢から抽出した胆汁を乾燥した粉末、熊胆を配合した漢方薬の形態で販売されている。

 熊胆の供給源は、A.海外野生、B.国内野生(狩猟、害獣駆除)、C.中国飼育(クマファーム)、 D.国内飼育(クマ牧場)の4つに分類される。製薬業者が製造用の原材料として取扱う熊胆原形及び結晶・粉末の供給源について情報が得られたのは50件。海外野生クマの熊胆の販売、使用が多いことがわかった。次いで中国飼育クマ(クマファーム)が多く用いられていた。

 熊胆を取り扱っていると答えた漢方薬店のうち、熊胆原形及び結晶・粉末を販売していた漢方薬店は90件で、それらの供給源の情報が得られたのは53件であった。海外野生クマ、ついで国内野生クマのユウタンの販売が多いことがわかった。

 漢方薬店、製薬業者が述べた海外の野生クマの産地は、中国、ネパール、ブータン、インド、パキスタン、ベトナム、カナダ、アラスカ、ロシアなどであり、世界中から熊胆が合法・違法に輸入されている。ホッキョクグマ、アメリカクロクマ、ヒグマの一部個体群以外のクマ類は附属書?に掲載されているので、多くは違法と考えられる。

 ワシントン条約(CITES)の付属書Iに掲載されたクマ類の保護のため、熊胆および熊胆を含む製品の販売・流通を全面禁止すべき。有害駆除個体の処置については、商業的ルートに乗らないよう、厳格な監視が必要。

また日本国内のクマ類の駆除数は、推定個体数の10%にも及ぶ。クマ類を狩猟獣から保護獣に移し、個体群管理、被害防止、生息地保全について、国が全国的な保護管理計画を樹立すべきである。

 

 

 

                        
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