野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
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海棲哺乳類の「適用除外」に関する意見書

 
海棲哺乳類の「適用除外」に関する意見書 

2002年9月4日

宛先:環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室
氏名:野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
    代表世話人 本谷 勲

 「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣又は他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣の指定」等に対し、以下の意見を提出します。ぜひ、ご検討のうえ、採用下さい。


○案件1
 環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣又は他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣の指定について

(意見)
 法の目的に明記された「生物多様性の確保」の観点から、適用除外を設けるのは矛盾しているので、適用除外規定自体の削除を求める。

(理由)
1.環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣として、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種を適用除外とするとしているが、これは第13条の捕獲許可に限った適用除外とすべきである。

2.他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている種として、アシカ、アザラシ、ジュゴンを除く海生哺乳類は適用の除外を受けた。海生哺乳類をその対象に含めたことは評価できるが、種を切り分けるにあたっての根拠が不十分である。たとえば「他の法令(水産資源保護法)」で保護対象となっているジュゴンは鳥獣保護法の対象となるが、同じ扱いのスナメリ、ホッキョククジラ、シロナガスクジラは対象外となる。同じ鰭脚類のアザラシは鳥獣保護法の対象となるが、トドは対象外となるなど、矛盾した内容となっている。
  しかも、適切に保護管理がなされている他の法令とは水産庁所轄の水産資源法などで、法の目的は資源管理に限定されている。絶滅危惧種にたいしてさえ、捕獲禁止以上の保護策は講じられていない。海洋ほ乳類にの中には多くの絶滅危惧種、絶滅危急種が含まれており、これを例外規定とすることは本法の目的に反している。



○案件2
 狩猟鳥獣の指定について

(意見)
 遊猟自体を原則禁止すべきであるが、それまでの間、ツキノワグマ、ヒグマは非狩猟鳥獣とすべきである。

(理由)
 ツキノワグマ、ヒグマは地域個体群として孤立し、RDBにも記載されている。絶滅危惧種を狩猟獣にすることは、生物多様性の保全を目的に含めた本法の趣旨に反する。
 またツキノワグマはワシントン条約I類に指定され国際的な商取引が禁止されている種でありながら、国内では依然として胆嚢採取目的の狩猟が行われている。合法狩猟の存在は、違法な商取引の隠れ蓑ともなり、法制度上も問題である。
 ツキノワグマ、ヒグマは狩猟禁止とし、被害対策等については特定鳥獣保護管理計画を義務づけ保護管理計画の中で講じていくべきである。


○案件3
 狩猟鳥獣の捕獲等をする期間の設定について

(意見)
 狩猟期間の設定ではなく、狩猟自体の原則禁止を求めるが、それが実現するまでの間、狩猟期間の短縮を求める。

(理由)
 旧法では、狩猟の「登録有効期間」が10月15日から翌4月15日までとされ、告示でそれを限定する「狩猟期間」が定められていたが(本州は11月15日−翌2月2月15日、北海道は10月1日−翌1月31日まで)、この改正法2条5項で、登録有効期間を狩猟期間と言いかえ、その中で「捕獲等をする期間」としている。これは実質の狩猟期間を一気に大幅延長させる布石となりかねず、まぎらわしい。


○案件4
 対象狩猟鳥獣の捕獲等の禁止又は制限について

(意見)
 狩猟鳥獣の捕獲等の数、猟法等の制限について、以下の措置を行うよう求める。
1.捕獲等の数については、地域における生息状況の調査とあわせて定めること、
2.猟法としてわなを使用する場合、くくりわなととらばさみは全面禁止すること、
3.生態調査のための学術目的以外での電波発信機による捕獲を禁止すること、を求める。

(理由)
1.鳥獣の生息状況は地域によって異なるにもかかわらず、全国一律○匹とするのは、種によっては個体群の絶滅を引き起こしかねない。

2.くくりわな、とらばさみは野生鳥獣を無差別殺傷する残虐な道具であり、かつ密猟、違法使用が頻発し、その取り締まりが困難である。とらばさみの違法使用が野放しとなっている原因の一つは、製造・流通・販売・所持の規制が存在しないことにある。とらばさみは、全国の金物屋やホームセンターの園芸用品売場で売られており、誰でも自由に購入でき、狩猟免許のない者に販売しても罰則はない。販売、使用が取り締まれない以上、かすみあみと同じように全面禁止すべきである。
 くりわなでも密猟・違法使用が野放しであり、誤ってクマがかかる例も跡を絶たない。わなにかかると個体の損傷がはなだしく、かつ危険でもあって、放獣することは困難である。西日本では、イノシシ用のわなによるクマの混獲が、絶滅を加速化させる要因となっている。中には、胆嚢を取る目的で、クマがかかることを意図して罠を設置している場合もある。このような捕獲は、狩猟でも駆除でもないため、捕獲統計に記載する必要がなく、実態の把握さえできない状態である。 
 このようなわなは、全面禁止すべきである。

3.高性能の電波発信機の悪用によって、種によっては全群捕獲が可能となり種によっては絶滅が懸念される。使用方法を学術的な生息調査に限定すべきである。


○案件5
 農業又は林業の事業活動に伴い捕獲等又は採取等をすることがやむを得ない鳥獣及び当該鳥獣を捕獲等できる場合の指定について

(意見)
 農業又は林業の事業活動に伴い、無許可で捕獲等又は採取等をすることができる鳥獣としてネズミ、モグラ全種があげられているが、中には希少種も含まれており、生態系維持の観点からも、捕獲の許可を要する例外規定を設けるべきである。

(理由)
 ネズミ、モグラ類は、猛禽類や肉食獣にとっての生存上不可欠な食物連鎖の一部をなしており、地域の生態系の保全の観点から保護しなければならない場合は例外とする旨を設けるべきである。また、絶滅のそれのある希少種が生息する地域においては、捕獲許可を設けるべきである。


野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
代表世話人 本谷 勲

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