鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

                     平成十一年五月二十日
                     参議院国土・環境委員会
 
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 
一 
 
、緑の国勢調査その他の自然環境に関する調査を徹底し、国全体の鳥獣の生息状況を適切に把握するとともに、都道府県における調査を支援し、これらの成果を野生鳥獣の保護管理施策に積極的に活用すること。 
二 
 

 

、鳥獣の保護繁殖等を担当する人材の確保、資質の向上を図ること。また、野生鳥獣との共存の森づくりに係る事業、鳥獣保護区の適切な設定等を通じ、野生鳥獣の生息しやすい環境整備を進め、野生鳥獣の移動ができる回廊づくりを積極的に検討するとともに、防護柵の整備等の被害防除対策事業の推進、被害防除に係る対策技術の開発及び普及を図ること。 
三 
 
 

 

、狩猟者が生態系の安定的な維持等に十分な配慮を行うこととなるよう、狩猟者のモラルの向上を図ること。また、狩猟や駆除が、事故、水鳥等の鉛中毒等の悪影響を及ぼさないよう、適切な措置を早急に講ずるとともに、関係地方公共団体と協力し、狩猟、駆除の対象となったシカ等の死骸の適切な処理体制の整備を促進すること。 
四 
 
 
 

 

、特定鳥獣保護管理計画の策定のための指針等を定めるに当たっては、専門家及び自然保護団体等の意見を広く聴くとともに、計画の内容が、野生鳥獣の生息地の保全整備、被害の防除に万全を期し、過剰な捕獲をもたらすことがないように定められるべきである趣旨を明確にすること。また、都道府県において適切な合意の下で特定鳥獣保護管理計画が策定されるよう、科学的な調査の徹底、目標や対策についての野生鳥獣の被害者、専門家、自然保護団体、NGOなどの意見の十分な反映等に関し、政府は、都道府県に対し、助言、指導その他の支援を行うこと。 
五 

 

、西日本地域のツキノワグマなどの個体数が著しく減少している特定の野生鳥獣の個体群についても関係県において特定鳥獣保護管理計画が積極的に策定されるよう、政府は、その策定及び実施に対する支援に万全を期すこと。 
六 

 

、関係地方公共団体における鳥獣保護行政の体制強化のため必要な支援に努めるとともに、都道府県知事の権限に属する普通種等の鳥獣の捕獲等に関する許可に係る事務について、地域の実状に応じて適切に市町村に委譲され、円滑に制度の運用が図られるよう、都道府県を指導すること。 
七 

 

、関係都道府県が特定鳥獣の個体群の増減等に関する調査を十分に行い、その結果を当該計画の運用又は改定に反映させるよう、政府は、指導、助言に努めるとともに、国による適切なモニタリングを実施し、それらの結果緊急に必要な場合は、関係都道府県又は市町村に対し迅速かつ的確な指示を行うこと。 
八 

 

、野生鳥獣の保護を一層明確にした法制度、鳥獣による農林業者の被害救済措置、公的機関が主導する捕獲体制の強化、野生鳥獣の保護管理のための国と地方の責務の一層の明確化等につき早急に検討を行うこと。 
右決議する。