第123回国会  参議院環境特別委員会会議録第9号
平成四年五月二十七日(水曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     三重野栄子君     久保田真苗君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     真島 一男君     藤田 雄山君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         渕上 貞雄君
    理 事
                石川  弘君
                森山 眞弓君
                西岡瑠璃子君
    委 員
                井上 章平君
                石渡 清元君
                大島 慶久君
                木宮 和彦君
                須藤良太郎君
                原 文兵衛君
                藤田 雄山君
                久保田真苗君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西野 康雄君
                高桑 栄松君
                沓脱タケ子君
                中村 鋭一君
                山田  勇君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  中村正三郎君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        森  仁美君
       環境庁企画調整
       局長       八木橋惇夫君
       環境庁自然保護
       局長       伊藤 卓雄君
       文化庁次長    吉田  茂君
   事務局側
       第二特別調査
       室長       宅間 圭輔君
   説明員
       外務省国際連合
       局地球環境室長  伊佐敷真一君
       大蔵省関税局輸
       出保税課長    花井 伸之君
       文化庁文化財保
       護部記念物課長  吉澤富士夫君
       林野庁指導部計
       画課長      田中 正則君
       林野庁指導部経
       営企画課長    弘中 義夫君
       水産庁研究部漁
       場保全課長    吉崎  清君
       通商産業大臣官
       房審議官     林  康夫君
       通商産業大臣官
       房審議官     姉崎 直己君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(渕上貞雄君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 去る二十一日、三重野栄子君が委員を辞任され、その補欠として久保田真苗君が選任されました。
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○委員長(渕上貞雄君) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○久保田真苗君 昨日環境白書が閣議決定されたと報道で拝見したんですけれども、せっかくのこういう時期ですから環境委員に配付されていてもよかったんじゃないかと思うんですが、配付していただいたんでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 御指摘のとおりこれはお届けした方がいいと私も感じますが、今現在届けられているかどうか調べて、早速お届けするように取り計らいたいと思います、
○久保田真苗君 大変注目されている時期なので、少なくとも報道関係と同時にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 それで、きょうは絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案ということでございまして、これは自然環境保全審議会の答申に基づいてされたと思うのでございます。
 自然環境保全審議会の答申の中にも、絶滅のおそれに追い込んだ圧迫要因で共通しているのは決して自然的ないろいろな生成それから消滅というような事態ではなくて、人間の生活領域の不断の拡大によるところの圧迫要因であるというふうなことが書かれております。全く私もそのとおりだと思いますので、こういうことによりまして動植物の生息地の破壊や減少といった事態が防止されることを心から願うのでございますけれども、私はこの種のための環境としましては大変なときに至っているんじゃないかと思うわけです。
 世界の人口を見ますと、世界人口白書などによりますと一九九〇年には五十三億人。それが一秒に三人、一日に二十五万人、一年間に約一億人の人口増加があって二〇〇〇年には六十二億人を超えるだろう。そして二十一世紀中にはほぼ三倍になるだろう。遠いことはこれからのいろんな要因があると思いますけれども、まず二〇〇〇年ぐらいまでに約十億人近い増加があり、そこに経済活動が活発になり排気ガスもふえ、そして生物のすんでいる生息地が侵されていくという状況は、まずこの予測のように進んでいくんじゃないかと思います。環境庁として人間の生活領域の発展による今後の環境の変化をどういうふうにとらえていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 非常に大きなお尋ねでございますのでうまくお答えできるかどうかわかりませんが、日本の場合は狭い国土の中で非常に過密な人口、これは主として都市部を中心に生活をし発展をしてきたという歴史があるわけでございます。その過程でやはり林を開発し畑地をつくりというような形で山の方に拡大をしていくという傾向がありますので、どうしてもそういった過程で私どもと生物の生活領域が衝突をする。その中でいろんな形で種が失われていくという傾向にあるわけでございます。
 これは日本の地形その他を考えますとなかなか今のところはとまっていないわけでございますけれども、やはり生物、自然が大事であるという意識のもとに環境行政を初め各般の行政も行われつつあります。一つのやり方といたしましては、守るべきところは守るという形での地域指定、それから都市部におきましても都市の緑地の保全をするというような法律、制度等もございます。あるいはそういった法律にかかってはおりませんでも、現在の自治体等では身近な自然を守ろうということでいろんな工夫がなされておるわけでござ
います。そういうことで、現段階では遅きに失したと言われるかもわかりませんが、そういったことの大事さを悟り、そういった手が打たれつつございますので、従来のような形での衝突どは違った形になるんじゃないかと思います。
 世界的な課題といたしましては、いろんな形で環境悪化が進んでおりまして、その大きな原因がやはり人口の問題。それが引き起こす貧困の問題との関連でやはり自然が無秩序にむしばまれておるということで、同じような人間と自然との衝突の場面が各所で出てきており、これが今日の地球環境問題の基本になっておりまして、世界各国の為政者がそれを意識し、今回のサミット等にも期待を寄せているところではないかというふうに考えているところでございます。
○久保田真苗君 環境サミットでもいろいろなやりとりがあるというふうに聞いております。ただ、私はこういう絶滅に瀕している種の生息地というものが人口の増加、人間の活動領域の増加、経済面からのいろいろな廃棄物等の造出、そういったものの流れの中で基本的な体系としては非常に圧迫されていく。その要因が弱まることは恐らくないんじゃないか。したがいまして、環境行政においては、私は強い決心でもって絶滅のおそれのある野生動植物を守るというそういう姿勢でいろいろな場面に臨んでいただきたい。
 それは非常に単純な言い方かもしれないけれども、そういう大きな背景を考えますとそれをやるのは環境庁の仕事だというふうに考えますので、きょうはそういう観点からの御質問を幾つかさせていただきたいと思います。
 それで、ワシントン条約の締約国に日本がなったのが昭和五十五年でありますから、それから数えて十三年目になるわけです。この三月には締約国会議も日本で開催される、そういうことになりました。また、今まで条約違反の取引について日本が非難を浴びることも多くございましたけれども、科学当局としての環境庁とか農林水産省、また条約の管理当局としての通産省、それに水際での確認に当たってこられた税関、大蔵省、こういったところの御努力の結果で締約国会議ができたということは大変結構なことだったと思いますし、またこうした国際的な背景の中でこの法律案がつくられたことの意義は認めておきたいと思います。
 それで、今回の法律案は、今度廃止になります既存の法律の絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律に比べまして、例えば違法の輸入者に原産国へ返還をさせることができるようになるとか、それから罰則が幾らか強化されたというようなことで前進が見られると思いますし、環境庁としては非常に御苦労されてここまでこぎつけられたんだという点は私も評価しておきたいと思います。
 ただ、この際お聞きしておきたいのは、一つは国際希少野生動植物の対象なんです。この法案の十二条で希少生物の譲り渡し等を禁止しておられるのは適切だと思います。また、こういうふうに原則的に禁止して、特定の要件を満たした場合だけ譲り渡しを認めるというその原則も非常に理にかなっていると思います。しかし、国際希少野生動植物としてはワシントン条約の附属書Tのみが対象になっていると聞くのですが、その点はそれで十分とお考えになっているんでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 先生御指摘のとおり、本法案におきましては「国際希少野生動植物種」という定義を第四条の四項で置いております。ここでは「国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物の種(国内希少野生動植物種を除く。)であって、政令で定める」ということになっておるわけでございますが、これは、私どもといたしましては先生も御指摘のように、ワシントン条約で言いますところの附属書Tを念頭に置いた表現でございます。附属書Tの方では、「絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるものを掲げる」こととされているということでございますのでこれを考えておるわけでございます。
 附属書Uの対象となりますものは、「現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用がされないようにするためにその標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となるおそれのある種」を掲げるということでございます。附属書UはランクがIに比べてちょっと低いといいますかそういう位置づけのものということで、一定の証明書があれば取引がなされるという前提のものでございますので、ここまで私ども法律で国内規制をかける必要はないんではないかというふうに考えたわけでございます。
○久保田真苗君 ですけれども、この附属書皿の方が九九%です。ほとんどは附属書のUになっているんですね。そして、例えばワニ皮のように、同じ種類のワニ皮であるけれども原産国によって附属書Tになったり附属書Uになったりするというふうに伺うんですね。そうしますと、実際には附属書Tなのに、国内での識別ができないところから附属書Tの方の取引規制も崩れていくというそういうものがかなりあるのじゃございませんか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 附属書TあるいはUにしましても、輸出入の管理につきましてはいわゆる水際規制ということでそれぞれの所管省において御努力をいただいておるところでございます。
 今おっしゃったように、IとUの区別がしにくいから国内法で何とかならないかというお尋ねかと思いますけれども、実はそこに基本的な問題点がございます。そういった加工されたもので小さくなったものについてどう判断するか。あるいは国内に入ってからでも仮にそういうものであるなら判断しにくいわけでございますので、一つ一つのものが何らかの形で識別できるという前提での今の制度でございますが、できないものについてどうしていくかというのは、国際取引だけでなくて国内規制をやる場合も問題として今後検討をしていかなければならない課題だと考えているところでございます。
○久保田真苗君 国会の附帯決議がございますね、昭和六十二年、現在の絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律の。これが成立するときに、国会で附帯決議の冒頭のところでこういうふうに言っているんですよ。「規制の対象となる「希少野生動植物」の種は、ワシントン条約附属書Tに掲げる種に限定することなく、適切な評価を行うことにより同条約の効果的実施に資するよう、その範囲を定めること」と。
 これはどういうふうに対応していただけたんでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 原則的に附属書Tのものについては許可制にかからしめているわけですけれども、一部につきましては国によりまして登録制という形で管理しておるものもあります。
○久保田真苗君 今の御答弁はよくわからなかったんです。原則としては許可制だけれども登録しているものもあると。どういう意味ですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) ワニの例でお尋ねでございますけれども、ある地域からのものにつきましては登録をすることによって輸入する際の管理をする。したがって、登録票をつけて転々流通することがあり得るということでございます。
○久保田真苗君 それは今度の新法によってそうなったんですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) これは従来の国内法からそういう取り扱いをしておるものでございます。
○久保田真苗君 今回も衆議院側では改めてこの点を附帯決議に加えているということは、実際に前の附帯決議が何も考慮に入らなかったということだと思いますけれども、その点は何か理由があるわけですか。登録制ということはあるけれども、少なくとも一定の種については附属書Uについても御検討あってしかるべきだったと思いますけれども、その点は検討していただいた結果なんでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 衆議院サイドでは、「ワシントン条約附属書Iの種に限定することなく、同条約の効果的実施に資するよう、その範囲を定めること。」という御指摘のような決議がなされております。これは附属書Uにつきまして書けという御趣旨とは必ずしも私どもは理解していないわけでございますけれども、附属書Uのものにつきましても、ワシントン条約の趣旨の合うように国内管理ができるようにしろという御趣旨と理解をしているところでございます。
○久保田真苗君 余り考えていただいてなかったんだろうと思いますね。検討ができなかったんだろうと思います。
 しかし、附属書IとUというのはかなり密接に連関があるんでして、ある程度の大量の取引がある場合にUについても絶滅のおそれがすぐに生じてくるそういう種の御検討、あるいは原産地によって附属書のランクが違う場合に起こってくる管理の必要性、そういったものについて私はやっぱり附属書Uも絶滅の予備軍と呼んでよろしいと思うので、こういうものも対象として当然御検討あってしかるべきだと思うんです。それにほとんどが附属書Uのものでございますので、日本が環境大国とか環境リーダーシップとかというそれだけの努力を払っていただきたいものだと思います。
 日本の場合、野生生物の消費大国だと言われております。それは大臣もお認めになると思うんです。消費大国についてのいろいろなあれがございまして、例えば野生生物の輸入について言えば一位はアメリカだけれども二位が日本で、そして日本が今まで行ってきた留保、まだ行っている留保、そういうものを加えるとかなり重要なものについての輸入は日本が一位になるというふうに言われております。
 この野生生物の消費大国ということについて大臣はどういう御感想をお持ちか。あるいはこれから国際会議などに臨まれます場合に、そういう現状認識をお持ちか、御感想があればお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 久保田委員にお答えいたします前に、先ほどお話ございました環境白書、これは国会提出文書だそうで、きのう閣議決定の後全議員にお配りしてあるそうでございます。
 それから、人口問題を取り上げていただきましたので、ちょっとそのことをお話しさせていただきたいんですが、私やはり環境問題は人口問題だと。あと五百年ぐらいたつと、日本の人口はこの出生率でいくと百万人ぐらいになっちゃうというような話もございますし、やっぱりすべての地球上の種を人類が圧迫していくという現状があると思います。環境もこの人口問題を抜きにしては語れない。
 今度の環境白書は特にこの人口問題について大きなページを割くように、また問題点を的確に指摘するように指示いたしまして、そのようにしてまいりました。また、サミットへ向けても環境問題を取り上げるべしと。これは委員も御存じのことだと思いますが、環境問題は非常に微妙な問題を含んでいますので、だんだんとこれを国際的な関心事に持ち上げていって人口問題を解決していくという方向で日本も努力してまいりたいというふうに思っております。
 それから、今野生生物の消費大国ということを言われましたけれども、実際にそういう御批判があることは率直にそうだと思います。そして、やはり私ども政治をやっておりますと、日本全国にいろんな方がいらっしゃって、そのいろんな方の御主張の中で民主主義は成り立っていくと思うわけであります。その中で、やはりそうしたものをなりわいにしていらっしゃる方とかいろいろいらっしゃって、いろんな御意見が私どものところへ飛び込んでくるのもまた事実であります。
 環境庁といたしましては、やはり野生動植物を守っていかなければいけないという立場で行政を進めておりまして、その中でワシントン条約会議が日本で開かれたということも非常に画期的なことだったと思うんですが、この条約、二国間の渡り鳥条約、そういったものの国内での着実な履行に努めてまいりたい。
 私は感想を申し上げますと、日本人の感覚も大分変わってきていると思います。よくなってきていると思います。今度ワシントン条約で私が演説しました中にも、いろいろな御批判があったのは確か、しかしそれを直していこうという努力をしているという演説もさせていただきました。それで、相当な改善に対してこの間の締約国会議では各国から日本もよくなってきたという評価を受けていると思うわけであります。
 今後も、そういう方向で国民の皆様の啓蒙と言っては御無礼ですけれども関心を高めていただいて、こうしたことを言われないようにしていくような行政をやってまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 PKOの委員会では、日本が経済的な支援ばかりでなくて人的貢献が必要なんだということで、じゃ人的貢献はいかにおるべきかということで今私ども論議を盛んにやっているところなんです。
 環境の問題について言いますと、確かに日本は経済的な面ではもうPKO以上に当てにされていると思いますね。当てにされているんだけれども、それじゃ知的なリーダーシップとかあるいは人的な貢献というような面からいいますと、確かにお金を集める人を座長にしたりそういうことについてはございますけれども、その点について必ずしもリーダーシップを今まで認められてきたと言いがたいものがあるんじゃないか。
 そこで、ひとつ日本もよくなってきたというこの機会に、それは世界の懐が広いということも言えますでしょう、やっぱり日本にしかるべき責任を持たせて、それで自分のところの状況も改めていってもらう。そういう懐の広さがあると思いますけれども、ひとつ日本の方も頑張っていただきたい、こう思います。
 それで、私は今度の環境白書はまだ新聞で見ただけなんですけれども、配っていただいたことは結構だったと思います。それで新聞で見ただけだけれども、やっぱり早期に対策を打つことが非常に必要だと。その例として、この間来から私どもがいろいろ要請しておりました水俣病の面での立ちおくれは遺憾というようなことも書いてあるということなので、それは環境庁がない時代のことではあったけれども、環境庁ができたからにはああいう手おくれ、立ちおくれ、すべての原因が究明されるまでは何にもモラトリアムをしないといったような倒錯した価値観で臨まれることはもう今後はないと信じております。
 それで、附属書Uの件ですけれども、法案の四条四項に「国際的に協力して種の保存を図る」というふうに明記していただいてありますのは、多少とも国会決議も尊重していただいたのかなとは思います。それならば、附属書皿の方は国内取引の規制にはなじまないんだとそれを言いっ放してしまうんではなくて、附属書Uの種を全部とはもちろん言いませんけれども、その中でやっぱり重点がはっきりあるわけです。それは附属書Iのものと非常に密接にかかわりのあるものとか、それから大量取引があって消費大国のそしりを受けるような、そういうものがあると思うんですね。
 それは専門家に御検討いただく必要はあるんですけれども、これ政令にゆだねられておりますので、その附属書Vの種を政令の中で国内の流通規制対象に含める、そういうことを検討していただけないかというのが私の提議でございますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 附属書Uに掲げられましたものは、繰り返しになりますけれども、国際的な位置づけといたしましては一定の条件のもとにおきまして取引が認められておるということで、附属書Iがいわば御禁制品であるのに対しまして、随分手続が違っておるわけでございます。したがって、これは出入りのところでは附属書Uでも輸出入の証明が必要である等の確認がなされておるわけでございますので、水際規制が甘いか
ら国内で取引規制をかけにゃいかぬということには非常につながりにくいわけでございます。
 ただ、附属書Uのものにつきましても、私どもとしては十分監視はしていく必要があると思っておりますし、そういったものの取引が国際的な意味におきまして附属書Tになるようなおそれがあるならば、これはそういったものを国際的な場において処理するように問題を提起していくということになろうかと思います。したがいまして、附属書Uを直ちに現行法の対象にするということは考えておらないところでございます。
○久保田真苗君 附属書Tの場合は国内取引は原則禁止でございますね。それと同じやり方でないやり方だってあるんじゃないんですか。附属書Tの方が附属書Tで非常に厳しく取り締まられているものよりむしろ消費大国として種の絶滅のおそれに追い込んでいくような大量取引、そういうものがあるという場合にこの法案は何にも対応ができない、こういうことになるわけなんでしょうか。政令のところで検討の余地はないんですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 実は先ほど先生パーセンテージでおっしゃいましたけれども、附属書Tに該当するものは非常に規制が厳しいということで、事実上輸入が非常に低い割合を占めているわけでございます。それとの反対の意味におきまして、附属音Uのものは九九%かを占めるという事態に至っておるわけです。ただ、それは国際的にもそういった証明書をつけて取引するという前提で、まだ絶滅のおそれがあるとまでは認定されていないものであるわけでございます。
 したがいまして、そういったものを我が国で国内法で厳しくするということはいかがであろうかと。なお、国内の流通規制上の問題として今特段こうしなければいけないという課題は生じておらないわけです。
 ただ、先生おっしゃるようにそれが野生生物の消費国ということでの批判を浴びているとするならば、そういったものを所管するところにおきまして、それの資源の有効利用その他十分な指導がなされるべきであろうというふうに考えております。
○久保田真苗君 例えば輸入それから加工、流通、そういったところに当たる業者を登録させてその記録をきちんと保存する。そういう面からやるという方法もあるんじゃないかと思うんです。
 ここで通産省ないし大蔵省に伺いたいと思うんですけれども、附属書Tの種と同じ登録手続を附属書Uの一つ一つの動植物にしなくても、流通経路の要所要所を押さえるということである程度問題意識のあるものを押さえる、万一条約とか日本の法律に違反したものが潜り込んできてもそれを流通から排除するといったようなことが可能なんじゃないかということなんですが、業界のことにお詳しい通産省、あるいは水際規制に努力していらっしゃる大蔵省の御意見を伺いたいと思います。
○説明員(林康夫君) 貿易局の林審議官ですが、私ども行政の建前といたしましては、まずワシントン条約に規定されるルールにのっとって日本に入ってくる種を厳正に外為法上規制する。国際的なルールにのっとって制限をするということでございまして、国内流通についてはそれぞれの所管のところで担当しておりますので、私の方からは水際規制についてそういうルールで行っておるというふうに御説明をしたいと思います。
○説明員(花井伸之君) 私ども関税あるいは税関当局としましては、その執行しております法律、これは関税法でございますけれども、関税法の第七十条というところでそれぞれの法律の許可、承認等を要するものについてはその取得をしているかどうかということを確認する、こういう規定がございます。
 この規定に基づきまして、我々はこのワシントン条約等の物品についての水際規制というものを行っているわけでございまして、関税法の体系の中に個別に先生御指摘のような輸入者あるいは流通業者等の登録をするというのはやはりちょっとなじまないのかなと。それぞれの個別の法令の方でそのような手当てがされた場合には、それを受けて我々としてはそれを確認させていただくということではないかと思っております。
○政府委員(伊藤卓雄君) ちょっと繰り返しになって恐縮でございますけれども、附属書Uにつきましては条約上の義務といたしまして国内での流通等についての厳格な管理ということは求められておりませんで、実は水際の段階で今御説明のような証明書等に基づく管理をすればそれでいいというのが前提でございますので、それを余りに締めるということは国際的な問題としても非常に難しい問題をはらんでいる。
 それから、技術的に言いましても、はっきりした形で流通されるとは限りませんで、非常に小さな形になっていくような場合に、どこでそれがもとと同じものとして同一性を証明できるのか。先ほどちょっとワニのお話が出ましたけれども、おおよそはIであるけれども地域によって皿になっておるというようなものについては登録制で、はっきりした形のものについては登録証がついた形で転々流通いたしますのでその点では確認をされている。いわば規制がされているということでございます。
 先生の御趣旨を突き詰めれば、小さなものについてまで規制できるかという技術論も含めて検討しないと、何ともこれは難しい問題ではないかというふうに考えております。
○久保田真苗君 小さなものまで細かく検討しろなんて言ったことないんですよ。むしろ要所要所の流通の経路を押さえることにおいて、いろいろ問題視されるような著しく大量の取引といったものが規制できないのかということを伺っているんです。
 それで、ワシントン条約ではこうだとおっしゃるけれども、この絶滅のおそれのある種の保存に関する法律案というのはワシントン条約のぎりぎりの線までを対応としてやっている、そういうものじゃないんでしょう。そういうものなんですか。ワシントン条約対応だけなんですか、これは。
○政府委員(伊藤卓雄君) 条約上の義務といたしましては水際規制という形で一応責務を果たすわけでございますけれども、さらにそれを確実にするという意味におきまして、特に問題となっております附属書Tについて既に各国内法が定められておるそれを今回の法律に持ち込んだというものでございます。
○久保田真苗君 通産省に伺いますが、ワシントン条約を今までの既存の法律で批准できだということは、結局外為法と輸入貿易管理令ですか、通産省所管のそういう法律で対応しているというふうに伺っているわけです。それで、通産省所管の対応なので私もずっと見ていったんですが、これはこの法律を見ただけではわからなくて、その下の政令を見てもワシントン条約対応といったようなその趣旨のことはわからなくて、そして一番下の告示というところまで行きましてやっと「ワシントン。条約に基づく輸入手続」と、こういうのが通産省公報に載っているんですけれども、ここに載っている手続のやり方というのは正しいんでしょうか。
 これはどういう法律の委任を受けてこの附属書TについてのあるいはUについての手続が決められているのか。例えばこれは通産省の側にしますと貿易の制限あるいは場合によって禁止になるわけなんですが、こういったものをなさるのを告示の段階で行われるということが立法上本当に正しいんでしょうかね。私は今これが野放しになればいいという論点から議論しているわけじゃないんですけれども、こういうやり方というのがワシントン条約を守っていくという趣旨からいって本当に有効なものと認められるんでしょうか。その点とういうふうに御理解になっているんでしょうか。
○説明員(林康夫君) お答え申し上げます。
 現在の外為法の体系は、ワシントン条約対象の動植物について、外為法と輸入貿易管理令の規定に基づき通産大臣の輸入承認にかからしめている
わけでございます。これは外為法の第五十二条「輸入の承認」のところに規定がございまして、「外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため、貨物を輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、輸入の承認を受ける義務を課せられることがある。」ということが規定されておりまして、それを受けて輸入貿易管理令がございます。これは政令でございますが、その輸入貿易管理令でさらに委任されておりまして、通産大臣が対象貨物を公表するという体系でございます。これはあらゆる貨物あるいは条約に基づく義務についてこういった体系で実施されているものでございます。
 実際には条約上の義務あるいは条約上の規定というのは極めて明確でございますので、これを受けて忠実にこの政令、告示、通産大臣の公表というのが行われるわけでございまして、あらゆる条約に基づく義務についてはぼひとしくこういった体系で実施されている、こういう状況でございます。
○久保田真苗君 つまり、ワシントン条約でこういったものの輸入が禁止されるという事柄の趣旨をこの外為法あるいは管理令によってやる結果、通産大臣の許可を受ける、あるいは逆の立場から通産省の承認を受ける義務というふうに見るけれども、このものは輸入してはあるいは輸出してはいけないんだというワシントン条約の趣旨にぴったり当たってこないんですよ。承認を受ける義務を有すると。つまりこの場合は学術目的とか増殖の目的とかそういったものに限られるというふうな書き方をなさるわけですよね。
 そうすると、事柄の趣旨からして、私はこれは今回のこのような絶滅のおそれのある野生動植物の種の併存に関する法律案の中に本来書かれるべきものだと思うんですよ。そのもとの政令によってやられるべきものと。もちろん外為法やなんかにお書きになることはいいけれども、どうも私はその本旨が真っすぐに法律の委任を受けないで輸入手続だけでやっていらっしゃるということは、少なくとも一般にこのことが周知されることにほど遠いものがあると思うんです。
 こういう輸入手続の告示は業者は見るかもしれない、必要に応じて。だけど、こういうことが一般国民に知られるということもないんだし、私はやっぱりこのやり方は非常に均衡を失したものじゃないか、そういうことだけきょうは申し上げておきたいと思います。私はだからといって通産省が規制をするのはけしからぬと、今そういう趣旨で議論をしているわけじゃございませんから、通産省のこの輸入手続によるやり方では不足であるということだけ申し上げておきたいと思います。
 それで、私の願いとするところは、やっぱりこういう附属書Uについて何らかの検討があってしかるべきじゃないか。つまり、水際作戦だけに終始していればそれでいいのかということなんです。この点は確かに通関その他の管理の官庁が処理されます場合には、附属書Uについてはワシントン条約の要請はこうこうなんだからという御答弁だと思うんですけれども、私は、今回の法律はいろんな官庁が共管していらっしゃるというものですから、むしろその官庁の協力関係に期待したい、こう思うんですね。
 ですから、その点についても、非常に著しい取引があるようなものについてどういう対策をするかということは御専門で考えていただきたいと思うけれども、しかし改めてそういう努力をしていただきたいと思うわけです。そして、今後も審議会等の御検討をお願いしたい、そのことをお願いしておきます。
 それから次に、国際希少野生動植物の形の問題なんです。ワシントン条約では、生きたもの死んだもの、体の一部、それからそれらの加工品まで対象にしているんですね。通産省で「附属書Iの動植物及びその派生物」というふうに表現されているんですけれども、この「派生物」というのはワシントン条約が言っている「部分若しくは派生物」とどういう関係にありますんでしょうか。
○説明員(林康夫君) 私どもといたしましては、国内規制の規定の仕方といたしまして、こういった表現でワシントン条約の内容をできるだけ忠実に表現するということを試みたつもりでございます。
○久保田真苗君 ワシントン条約の方はこれは「標本」という表現を使っておりますね。「標本」というのは、その一が「生死の別を問わず動物又は植物の個体」でございます。それから、二番目には「動物にあっては、附属書I若しくは附属書Uに掲げる種の個体の部分若しくは派生物であって容易に識別することができるもの」というふうになっているわけです。そういたしますと、この通産省の言っている「動植物及びその派生物」というのはこの「標本」というのと同じなんですか。
○説明員(林康夫君) 一緒というふうに理解をしております。
○久保田真苗君 では、それは「部分若しくは派生物」というふうに見てよろしいわけですね。
 そういたしますと、問題になるのが一つ例を挙げてお伺いしたいんですけれどもアフリカゾウの象牙なんですね。この法律では附属書Iの動物の個体というふうになりまして、生きたもの死んだものですから生きている象か剥製になった象、それしか規制の対象にしていないんですよ。でも、実際にはそういう需要というものは極めて限られていると思うんですね。そういたしますと問題は象牙ということになるわけで、皆様御存じのとおり日本の消費の最たるものはこの象牙だろう。世界一であるというふうに承知しております。ですから、この場合これは象牙が取引の対象なのであって、生きている個体や剥製ではないということになると思うんです。
 アフリカゾウが附属書Iに加えられる前に、日本は平成元年ですかに自主的に象牙輸入を禁止していらっしゃるということなのでございますけれども、そういう点で日本がだんだん見直されているという理由でもあるかと思います。しかし、こういう場合にまだ残っているものがたくさんあるということで、国内の取引というものはなかなか規制しにくいものがあるわけでございましょう。
 そういたしますと、これは非常な抜け穴になるわけですね。一つは在庫品がこれからも延々としてあり続けるかもしれないということ。それからあとは密輸されても在庫品と紛らわしくて捕捉しがたいということ。こういうものについてはどういうふうに対処をお考えになるんでしょうか。
○説明員(姉崎直己君) 生活産業局担当審議官の姉崎でございます。
 通産省といたしましても、先生御指摘のアフリカゾウの部分品といいますか、いわゆる象牙でございますが、これの国内流通管理を整備するということは、絶滅のおそれのございます動植物の保護という観点からある程度その実効性に寄与するということは十分理解をいたしております。ただ、国内流通の管理のやり方といたしましては、先ほどの中村長官のお話にもございましたように大小さまざまな大きさになってまいりまして技術的にも大変いろいろな問題が生ずるわけであります。
 したがいまして、国内流通の管理のやり方にはさまざまな考え方がございまして、国際的に勧告されておりますのは事業者の登録制といったような形のものが要請されておるということであります。具体的に象牙の国内流通の管理をどのようにしていくかということにつきましては、国際的な理解も得られるような形にすることが必要でございます。また、国内の流通実態等を踏まえながらこの実効性を確保していきたいと考えておりまして、このような観点から、通産省といたしましても今後環境庁等関係省庁と十分御相談をしながらこのあり方につきまして検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。
○久保田真苗君 方法として例えばどんなやり方が考えられるわけですか。例えば今在庫がたくさんあるとしますね。そうすると、密輸というのが頻々とニュースになるわけです。今在庫があるものはそれは流通したり利用してよろしい、こういうことになっている。そこへ密輸品が入ってきて
も、つまり在庫が延々とあるというのはそういう意味なんですがね。
 そうしますと、ある程度今業者の持っていらっしゃるところの在庫というのは捕捉できるわけですね。それはできるんじゃないんですか。そして、それがどんなふうに利用され流通したかというその記録もできるんじゃないんですか。それで業者以外のいろんな人たちが持ち込んでくるそういうものとの識別、そういうことができるんじゃないか。つまり、象牙というものは大きい形で輸入されるものと印材のような形でひそかに持ち込まれるものとありまして、水際作戦といってもその水際で十分にできないことはかなり予測されると思うんです。
 しかし、これがもし国際的に種の保存を図る上から問題があり続けるとすれば、やはり世界一の消費大国の日本は当然国内的な説明をして納得させ得る、そういう手配が必要だと思うんですね。そういうことをおやりになるのはどこなのか、そしてそういう方法を考えていただけるかどうか、こういうことなんですが。
○説明員(姉崎直己君) 大変難しい御指摘でございますが、私ども御趣旨は十分理解しております。
 この国内の流通をどこまで管理するか、特に密輸品とのかかわりをどのように対処したらよろしいかということでございます。これにつきましては技術的な問題及び行政的なコストの問題等を十分勘案しながら実効性を考える必要があろうかと思います。
 業界におきましては、違法な輸入の象牙と輸入が禁止されました平成元年六月以前に輸入された在庫の象牙を区別するため、自主的にシールを貼るという業務を組合の連合会が実施いたしております。この制度というのは、組合加盟の業者相互の監視のもとで実施されているということでありまして、その意味で先生御指摘の密輸のものなのか正規に許されているものかという信頼性の向上にある程度寄与していることは事実ではないかというふうに考えております。
 ただ、いずれにいたしましてもこれは業界の自主的な措置でございまして、行政的に今後どのような制度でこれを識別し管理するかということについてはなお今後十分詰める必要があろうかと思いますし、国際的にも信頼されるまた説明し得る制度でなければならないと考えておりますので、今後なお時間をややいただき、これらについて検討をいたしたいと考えております。
○久保田真苗君 できるだけ早くお詰め願います。
 次にウミガメなんです。ウミガメはワシントン条約では附属書lの種なんですが、日本に生息しているウミガメもございまして、それは規制対象に含められるのかという質問です。
○政府委員(伊藤卓雄君) ウミガメにつきましては、科全体が附属書Iに掲載されているところでございますが、今御指摘のように国内にも生息しておりまして、水産資源保護法等の多法令により捕獲等の制限がなされるなど管理がなされておることと理解しております。
 本法案での扱いでございますけれども、附属書Iに掲載されておるというような観点から国際希少野生動植物種として指定しまして、国外からの輸入物につきましては国内での譲渡等の規制をするという考え方があり得ると思っているところでございます。
○久保田真苗君 国際物しかこの法律では扱っていらっしゃらないで、ウミガメにつきましては他の法律で扱われているんですが、それじゃこれは水産庁ですか、水産資源保護法。あるいは文部省が天然記念物として指定していらっしゃる場合もあるんでしまう。それから、それがまた省令におりていたり都道府県の条例になっていたりということで、極めて複雑な法体系になっているんですね。それをいかにして環境庁がその間を遺漏なく束ねていらっしゃるのかということが一つ今後の問題になると思うんですが、まず水産庁に幾つか質問したいんです。
 水産庁の関係ではウミガメの保護。これはどれがどう保護されているか、あるいは産卵地。そういうものをちょっと時間が短くなりましたのでずばっとお答えをお願いします。
○説明員(吉崎清君) 水産庁としましては、従来からウミガメの保護を囲みため採捕の制限を行うこととしておりまして、県などを指導しまして、県の漁業調整規則または海区漁業調整委員会指示によりましてウミガメの採捕を制限、禁止しているところでございます。
 昨年度までは東京都、高知県、和歌山県、沖縄県で規制をやっておりましたが、ウミガメの採捕の規制を行っておらな小県につきましてこういった適正な規制を行うよう通知いたしまして、新たに静岡県と鹿児島県は今年度から採捕の規制措置を講じる等ウミガメの管理、保存体制を整えてきておるところでございます。
○久保田真苗君 採捕が許されているところは、そうするとどこになるんですか。
○説明員(吉崎清君) ただいま申し上げましたところがウミガメの管理、保存ということで適正な採捕をしていいというような規制の内容になっております。
 それで、採捕をする場合はそれぞれの承認を得まして、試験研究用あるいは増殖用、その他委員会等が特に認めたものということで、採捕するカメの数も規定しております。
○久保田真苗君 管理されているということで一定のものが採捕されてもいいということなんですが、業者が例えばアカウミガメの子どもを季節によって販売している。そういうことが業界で常識になっているそうなんです。こういった愛玩用に販売されているウミガメ、それはどういうふうに適正に管理されているんでしょうか。
○説明員(吉崎清君) 先ほど申し上げましたように、ウミガメの管理、保存体制が整ってきておりますので、このような状況下で委員御指摘のような事実がありましたら厳しく指導してまいりたいと考えます。
 なお、ウミガメの販売につきましては、先ほど申し上げましたような試験研究用あるいは増殖用ということで、採捕をいたしました親ガメから生まれた稚ガメ、それを販売するというよ、つなルートもあります。
○久保田真苗君 文化庁、お待たせして済みませんでした。
 適正に管理されているということなんですけれども、業界ではそういった取引もあるわけですね。それで、アカウミガメの場合、限られた海岸のものだけが天然記念物に指定されているというふうに伺っているんです。
 例えば徳島県の日和佐町。そういうところではアカウミガメの保護に町じゅうで取り組んでいるんですけれども、しかし岬を一つ回って隣の県に踏み込んだ途端にそれは天然記念物じゃないということになって捕獲され魚市場にも出る、こういうことになるというふうに聞いています。これはこの浜のウミガメだから天然記念物だけれども、岬一つ回ると天然記念物ではないというそういう決め方に私はどうも無理があるんじゃないかと思うんですが、文化庁はどういうふうにごらんになっていらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(吉田茂君) 御指摘のように、天然記念物の中の動物につきましては、地域を指定して保護するというほかに、地域を定めないでその種全体を保護するというシステムもあるわけでございます。ウミガメの保護については、御案内のとおりウミガメの習性といたしまして産卵時のみの一時的な上陸、それが陸上の人間と接する唯一のポイントであるということに着目いたしまして、その産卵地の保護もあわせて産卵地において保護するという地域指定の方法が最も適しているのではないかということで、種の指定ではなくて地域指定という形で保護をするのが適切であるというふうに考えておるわけでございます。
 この場合、文化財保護法の場合には学術上の観点から保護をするということでございまして、日本列島を産卵の北限地にしておりますアガウミガメについて、徳島県と静岡県の二カ所において地
域ごと指定して保護するということをやっておりまして、この方法が適切ではないかと考えておる次第でございます。
○久保田真苗君 地域指定ということも確かにその町を挙げてというような形でいいかと思うんですが、ウミガメというのはかなりいろんなところにいるわけでして、これがワシントン条約の附属書Tにランクされている。すべてウミガメはTというそういう状況なんですね。ですから、私はやっぱり種の指定をしていただくこととどちらがいいかという御検討、種を指定するというその方法も今後必要なんじゃなかろうかというふうに思うので、そういうことをひとつ研究対象にして結論をお聞かせいただけるとありがたいと思うんですが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(吉田茂君) 確かに先生御指摘のように種の指定ということもあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、学術上の観点から産卵の北限地を保護するという基本的な考え方のもとに現在天然記念物の地域指定という方法が妥当であるということで、関係の専門家等の意見も踏まえまして進めておるわけでございます。さらによく研究をしてまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 これは非常に国際的に関心の高い種でございますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 環境庁に伺いますが、日本に生息するウミガメは科学的な資料によれば絶滅のおそれはない、そういうふうにごらんになるんでしょうか。どうなんでしょう、その辺。
○政府委員(伊藤卓雄君) 日本の場合、この調査によりますと希少種という位置づけになっておりまして、今の時点で絶滅のおそれという判断はしておらないところでございます。
○久保田真苗君 何という位置づけですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 希少種ということです。私どもは絶滅のおそれ云々というときにランクをつけておりまして、絶滅種、絶滅危惧種、危急種、それから希少種ということで、下のランクということでございます。
○久保田真苗君 そうしますと、絶滅のおそれがある種としで附属書Tになっているんですね。日本の場合は附属書Uにおろすというようなそういうことを申し出るおつもりがあるわけですか。そうじゃございませんと、やっぱり事実が反映しないことを日本では国内的にはやっているんだと。このウミガメ問題というのは確かに国際的な取引の問題ではあったけれども、アメリカでもブッシュさんから前の首相のところへそういう話が来たというくらいに大事な種だというふうに見られているわけですけれども、日本の種は附属書Uにおろした方がいいというふうにお考えになるのかしら。
○政府委員(伊藤卓雄君) そういう意味ではございませんで、ウミガメというのは先生御指摘のように附属書Tに科全体が掲載されているというところから、私どもとしては先ほど御答弁申し上げましたようにこの法律で言う国際種に指定する方向で今考えておるわけでございます。
 ただ、国内の扱いの問題につきましては、先ほど水産庁等のお話もございますようにそれぞれの法律で採捕等の規制が行われて管理が行われているというところから、この法律で直接の規制を考えるということはしでおりませんけれども、いずれにいたしましても今後の管理のやり方についてはまだ相談をしてまいりたいと思います。
○久保田真苗君 管理をちゃんとやって、つまりこれは大変複雑でいろんなところに所管が行っているんですよ、たくさんの官庁に。それから都道府県にも行っている。もちろん文部省にも行っている。こういうことでございますので、私はだからそういう意味できちんと結論を出しておく必要があるし、ウミガメが絶滅のおそれがないようないろんな各方面の協力を取りまとめていただきたい、こう思うわけです。
 ツキノワグマです。これは方々で問題になっております。どのくらい今日本にいるんでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) ツキノワグマの生息数につきましては、全国で一方から一万五千頭程度と推定されているところでございます。
○久保田真苗君 環境庁は非常に労作であるところのレッドデータブックというのをお出しになっていますね。「緊急に保護を要する動植物の種の選定調査」というのをやっていらして、私はこれを評価しておりますんですけれども、こういうツキノワグマに関しては非常に頭数が大ざっぱで一方から一万五千と言われている。これは確かにワシントン条約でも附属書Tになるそういう種のクマなんですが捕獲が行われているんです。それは有害鳥獣の駆除という名目で行われる場合が一番多いですね。
 昭和六十二、六十三、平成元年と、この三年間で見ますと、都道府県知事の鳥獣捕獲許可によるもの平成元年で千二百六十六頭、そのほか狩猟登録を受けた人の捕獲数七百六十一、それから環境庁長官の鳥獣捕獲許可によるもの、これはうんと少なくて十なんです。それから学術目的というのはたった二です。それで、合わせて毎年二千頭を超えるツキノワグマが狩られているわけです。これについてどういうふうにごらんになっているのか。状況がわからないからこの程度とってもいいんだという考え方もあるけれども。
 ことし一月に東京で「滅びゆく野生生物種を救うために」というシンポジウムが開かれて、その報告書が出ているんです。その中にツキノワグマについての専門家の報告も載っていまして、一度ごらんいただきたいと思うんです。そうしたもので、大ざっぱに言いますと地域個体群の個体数の三から五%がせいぜいなんだという適正捕獲率、そういう数を出された専門家があります。そうしますと、一万とすると三百頭から四百五十頭、その程度が限度じゃないかと思うんです。一万ぐらいの中から二千頭も毎年とっているということで、本当にこれは大丈夫なんでしょうか。
 物がはっきりしないうちは一応モラトリアムを原則とするということ、私は環境庁にはその姿勢を貫いていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) ツキノワグマの問題につきましては、特にその生息状況につきまして地域差が非常に多く、また現状の捕獲頭数が多過ぎるんではないかというような御指摘があることも十分承知しているところでございます。ちなみに申し上げますと、四国、中国山地等では生息数が減少して絶滅が危惧されているというような話も聞きますが、一方では非常に多くて被害を与える。したがって、有害鳥獣駆除という形での管理をせざるを得ないということはあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、それぞれの地域における実情をきちんと踏まえた上で管理をしていく必要があるということで、地区ごとの生息分布あるいは生息数、繁殖率等の客観的なデータの集積を行った上で捕獲数の制限をやっていくような形の管理が必要ではないかと思っております。現在、平成三年度から環境庁にツキノワグマ保護管理検討会を開催しておりましで、そこで保護管理方策についての御見解を待つでおるところででざいます。
○久保田真苗君 大臣、ツキノワグマの検討会をやっていただくのは大変結構なんですけれども、私はこの前もさんざん大臣にお願いしました例の水俣病の件ですね。あれで学術的な証拠がないからということで二十年も三十年も引き延ばされてきた。そのことを繰り返していただきたくない。
 人間は口があるから主張ができますけれども、これはクマもカメもそして象も主張ができないわけでございますので、検討をしていただく。検討の結果こうなんだという確信が持てない間はこういうものを狩っていく、そういうことをできるだけやらない方向でお考えいただきたい、こう思うんですが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) モラトリアムという御指摘でございますが、検討会の報告も間もなくまとまるかと思っておりますが、それに先駆けまして、現在直接の関係者であります大日本猟友会におきまして本年度の猟期から自主的に捕獲自粛を行うということを検討中でございます。地域の生息数に応じまして当面三年間あるいは過去の状況に応じた数の縮減というようなことも間もなく発足させるべく検討が進んでおるところでございます。
○国務大臣(中村正三郎君) 絶滅に瀕したいろいろな種を保全していかなきゃいけない。保護していかなきゃいけない。そして、先ほども申し上げましたように人間のいろいろな行為が地球上の種を圧迫して、一説には一年間に四万種も種が減っちゃうという中で保護していかなきゃいけない。そういうスタンスで取り組みを今やっているわけであります。
  ただ、委員、日本は民主主義の国でありますから、先ほどもちょっと申し上げましたようにいろんな御意見がございます。特に私は半分役人、半分立法府の人間ですからいろいろな意見が来ます。そのいろいろな意見の中で、ぞれじゃこの動物は危険だから全部殺してもいいという意見が出てきたときどうするんだと。人間にとって害があるからというのは、これは環境行政をやっていていつも突き当たる悩みであります。
 また、例えばカメにしても、それからワニの皮とかいろいろな例を出されましたけれども、これをなりわいにしておられる方は、ざっくばらんに私長官の立場をちょっと外れて答弁させていただけたらと思うんですが、規制することには端的に言って反対だという方がいっぱいいらっしゃると思うんですね。特にクマの場合、私実は北海道の方たちときのう話し合っていたんですが、非常に危険を感じているんですね。だから、これはもう規制しないでとらせてくれというのが全員の意見でした。
 そういう中で、やっぱり我々は地球上にすんでいる一つの種が絶滅してはいけないということでやるので、さっきうちの局長から答弁させていただきましたように、やっぱり科学的な知見に基づいて調査をして、その上でもって絶滅しないような方向で管理をしていかなきゃいけないという御答弁になると思うんです。そういういろいろな意見のある中で、先ほど申し上げましたようにやっぱり人間の活動がそういう種を絶滅させちゃいけないんだということに立って、ワシントン条約もあり、こうした法律もつくるという中で、私どもはやっぱり国民の方にわかっていただくということが一番重要だと思うんですね。
 ですから、地球サミットも控えたこういう時期に国民の方にわかっていただくようにいろいろなPRもしながら、その中で環境行政としてこういったものを守るという方向で着実に進めてまいりたい、このような感じを持っているわけでございます。
久保田真苗君 済みません、一言だけ。
 レッドデータブックで見ますと、ワシントン条約のIに該当するような絶滅危惧種という一番の重症のところが二百種余りあるんですね。だけれども、今度政令でお決めになるのは大体六十種ぐらいだろうというふうに伺うんです、それも渡り鳥条約系統のものが主で。そうしますと、私せっかくそれだけの努力を払ってお調べになったもの、それが何年かのうちに六十種ぐらいしかというのでは大変残念に思うんですね。
 そういうことを考えまして、環境庁が努力なさったことだから、ひとつ二百何十種というのを一応全部洗ってごらんになって、できるだけ前向きに種の指定をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) もとより、私どもはそうした自然を守るという立場の役所でございますから、御意見として十分伺って参考にさせていただきたいと思います。
○委員長(渕上貞雄君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
    午前十一時二十九分休憩
     ―――――・―――――
    午後一時開会
○委員長(渕上貞雄君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○堂本暁子君 私が初めて中村長官に質問をさせていただきましたのは、バイオダイバーシティーという言葉を御存じでしょうかと、私も一年半前までは知りませんでしたが、そのことを伺ったと思うんです。
 生物多様性条約もナイロビで採択され、そしてリオに向けて準備が進んでおるようですけれども、温暖化の条約と二本、大変大事な条約という位置づけにもなりまして、多分大臣も今はお詳しくていらっしゃると思いますが、今までの自然保護とかそれから生態系の保全というのと、時代性と申しますか現代的な環境のあり方、地球規模での環境について、やはり生物の多様性というのは新しい理念を盛り込んでいるというふうに思いますけれども、大臣の、この数カ月、どれだけおたちになったか、その間のバイオダイバーシティーに関しての新しいお考えがおありになったら伺いたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 確かに、委員御指摘のとおり、最初の質問でバイオダイバーシティーと聞きましてどういうことかなと思ってびっくりしたのはよく覚えております。日本の言葉で言えばむしろ種の保全と言った方がわかりいいのかもしれませんけれども、外国ではああいうふうに多様性という言葉を使うようでございます。
 そして、けさほどからずっと久保田先生との御論議でもやっていたのですが、この多様性の保全ということを考えますときに、やはり環境全体と関係があることだ、まさに基本的なことだと。
 それはどういうことかと言えば、地球の中でどういう生物がどういう栄枯盛衰を繰り返してきたかという中で、今の数億年というものは人類が一方的にふえて、ほかの動植物が圧迫をされている。それがまさにここ数百年の間に幾何級数的に人類の人口がふえている。しかもそれが極めて特徴的なのは、例えばドイツだとか日本では人口は減る傾向になるであろうと言われているし、インドだとかパキスタンだとか、いろんなところでは人口が一方的にふえていくだろうという予測がされている。その中で、我々と一緒に生活してきた動物種はどうかと言えば、一説には一年間に四万種ですか、物すごい勢いで減っている。こんなことが続いて、我々人類も地球もやっていけるわけがないという根底の問題がこの生物種の種の保全の問題だと思います。
 その場合には、私は人間も一つの種の中に入れて考えたいと思うわけでありまして、やはり人間が理性を持ってこうして取り組んでいきます以上、地球が持続可能な状態で我々の子孫に受け継いでいかれるような、そういう視点から我々人類も含めて種の多様性を保全して、もって我々が生活していけるようにする。まさにその根本にある問題だというふうに感じさせていただいております。
○堂本暁子君 もうまさに、今長官が言われたその考え方に基づいてきょうは質問を展開させていただきたいというふうに思います。直接の条約の対応でこの法律ということではないかもしれませんが、今までそういった生物の多様性の条約もできるような中で、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案が出されて、きょう私たち審議しているのだと思います。
 本論に入ります前に、私、山登りするんですけれども、大臣、ヒグマは北海道にいますが、先ほどツキノワグマ、これは北アルプスを歩いていましても私たちばったり出会うことが三十年ぐらい前はありました。今はもうどこを歩いてもクマにお目にかかることはなくなってしまいました。
さっきおっしゃった北海道の話は、ツキノワグマではなくてこれはヒグマですので、ここのところはお直しいただきたいというふうに思います。
 本論に入りますけれども、先ほど同僚の久保田さんもおっしゃいました野生生物の消費国である日本、これはもう余りにも不名誉なことだ士思うんですけれども、それだけに今回この法律は大変大事だというふうに思います。
 レッドデータブッーク、ここに三冊ございますが、けさ、この白書についても私たちの手になかなか入らない、一段階遅くいただくのは大変困ると思ったんですが、野生生物課にお電話して、この審議があるのでこれをとにかく買うなりいただきたいと言ったらば、課長に相談してから渡すかどうか決めますという返事なんですよ。こういうことは環境庁は一体国会議員を何と考えているのか、もう本当に私はそのときびっくりしたんですね。もう出回っているんです。
 それは確かに在庫はない、そのことはわかります。しかし姿勢として、課長に相談してからでなきゃ渡せませんという言葉は環境庁の野生生物課の人が答える言葉ではない。それなら私たちに一体何をもとに審議しなさいというんですか、こう言いたくなります。課長補佐が出てみえて、私は今度質問なんですがと言って、これは野生生物課のものを拝借したんです、拝借してやっと読んでということです。
 それにしても私たちに審議をしろとおっしゃるのであれば、それから審議をすることが私たちの責任でもあり国民の代表としてするのであれば、白書もそうですし、こういったものを渡していいかどうか、まず検討する。それは環境庁の中で質問をする人に対してできるだけ資料は出さないという姿勢があるということだというふうに、常にどこの役所でも考えるんですが、環境庁は例外だと思って今までおつき合いをしてきたんです、でも今度はそう思いませんでした。その辺のところははっきり認識を改めていただきたい。
 私たちは応援団のつもりで、少なくともこういうことをやっているときに課長と相談してからでなければ出せないということは、これはやっぱり大臣、環境庁全体の姿勢として国会議員と環境庁の関係をもう一回お考えいただきたい。これはあえて苦言を呈させていただきます。
 そして本論ですけれども、まさに問題のレッドデータブックですが、これは日本では八九年に自然保護協会と世界自然保護基金日本委員会によって植物のができておりますね。それから、動物種については、一九九一年に環境庁によってつくられた日本の絶滅のおそれのある野生生物、脊椎動物と無脊椎動物についてできていますけれども、今回、実際に具体的に種の選定をされるについては、この三つのレッドデータブックをもとになさるのかどうか、そのことをまず確認させていただきたいんです。
○政府委員(伊藤卓雄君) 種の指定に当たりましてはいろいろなデータをもとに判断をする必要がありますが、私ども、従来長い期間をかけて準備してまいりましたのが動物に関しまするレッドデータブック、お手元にあるものが私どもの作成にかかるものでございまして、これはかなり一定の考え方で整理をされ、専門の先生方にもおまとめいただきましたので、これにはかなり基づいてやるということが言えるかと思います。
 実は、植物版につきましてはやや私どもが直接関与しておらないという意味で、そういった選定をし、法律の規制をかけていく。最後は地域指定にまで結びつきますのでそういったものに耐え得るものであるかどうか、その辺も吟味が必要でございますが、いずれにしても貴重なデータとして参考にさせていただきたいと思います。
 それから、最初に大変御理解ある先生の方からお話がありましたので部下のために弁明をさせていただきたいと思いますが、取り違いがあったとすれば大変申しわけないと思いますけれども、私、調べてみましたら、ちょうど担当の者がおりませんで、後ほど担当の者からということで御連絡をし、すぐ先生のところの秘書さんに貸し出すという手続をとったというふうに私は聞いております。
 実は、こういったものは確かに資料として御客議なり一般の方に御説明いただく大事な資料でございますので、私どもは貸し出し用を準備しておるわけですが、たまたまそのとき担当の者がいなくてわからなかったということで、そういう対応をしたかのようでございます。
 ただ、私どもとしては非常に大部の物でなかなか冊数がないということもありますが、あるだけのものはできるだけお貸しするという対応はしておるつもりでございますので、一つのことをもって環境庁全体の対応の仕方というふうに先生に誤解していただくと大変残念でございます。この法律をつくるために部下の連中が非常に努力をしたということの九例の功を一簣にして欠くということと思いますので、あえて弁明をさせていただきます。
○堂本暁子君 ですけれども、もっと言わせていただければ、この法律の御説明なりに見えるときには、これをもっとそれだったら貸していただく、くださいとは言いませんけれども、持ってきてくださるぐらいの親切心はあっていいと思うんですよ。どっちにしたってこれなしでできる仕事ではないんですから。
 だから、たまたまいなかったということかもしれませんけれども、そういったこと以前にやはり大変に不親切であるというふうに私は思います。私たちの手に入らないんですから、ほかで。そこのところはやはりおかしいと私は思いますけれども、それはとにかくとして、少なくとも植物について、それから動物については環境庁でおつくりになった。これは本当に危機的な状況にある動物を網羅しているというふうにお考えですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) このレッドデータブックも、先ほど申し上げましたように、我が方で手がけましたものでも動物に限られておりますし、脊椎動物等、主要な分類群につきましてはほぼ網羅することができたというふうに考えていますが、海産種でありますとかあるいは非常に微小な種につきましては、現時点でなかなか生息状況に関する知見が十分でないというようなこともありまして、もともと委員の先生方が調査の対象としなかったりというようなこともございまして、こういった点は今後修正をしていく、あるいはレッドデータブックを定期的に見直しをしていく中で充実していくということに有ろうかと考えております。
○堂本暁子君 これはWRIの生物の多様性のあれですけれども、この中で、前にも一度申し上げたかもしれませんが、とてもその野生生物のおもしろい表現があると思うんですが、石垣みたいなもので、砂みたいに一つずつ減っていく。象は石かもしれません。しかし、どんどん減っていくと最終的にその石垣が崩れるという表現を使っています。そういうことからいいますと、本当に希少になって貴重になった植物なり動物なりでいいのかどうかという議論があるわけです。四万種ずつと長官先ほどおっしゃいましたけれども、そういう形で少しずつ減っていった場合に石垣が崩れる。人間も種の一つかもしれませんが、全部の種が、やはり動物も植物も人間も乗せた私たちの生息の土台となる生態系全体が崩れてしまう、そういう日が来る可能性があるわけです。そうすると、人が足りないとかそういうことで一部で済まされるものなのかどうか。
 今、海洋動植物については、それから微小な昆虫とかそういうものも入ってない。しかし、その一つずつの砂のような、石垣に例えれば砂のような種がやはり大事なんだと思うんです。大きい石だけではない。象やトキやそれからイリオモテヤマネコとかそういった有名になった種は一つの点でしかないわけですね。そうではなくて、一つずつずるずると崩れでいっている数知れない昆虫や、それから私たちの目にはなかなか見えない海の中の動植物こそが非常に大事だと思うので、私はまだこれではバランスを欠いているのではないかというふうに思います。
 そういった、これから補てんをしていくというような今おっしゃり方でしたが、もっと積極的に、どのくらい早く、どのくらいの規模でそういった今不足しているものを補って、そして選定の対象とされますか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 大変難しい御質問でございますけれども、実は野生生物の問題に組織立って取り組んでまいりまして最初に手がけたのがやっとこのレッドデータブックというものでございますが、これも実は私どもが環境庁の力だけでやったわけではありませんで、いわば日本の動植物に関する学者、動物の場合は動物に関する学者を網羅し、それも各先生方の従来の学識をいわば総動員していただいてやっとここまで出てきたということでございます。したがって、私どもとしてもこれからももっと学者グループ、大学を初めとするいろんなグループとネットを張りまして、そういったところの情報を吸い上げでできるだけ充実した資料をつくるということしか今のところでは申し上げられませんで、具体的にいつまでとか、どの範囲でというのはなかなか申し上げられないことを御勘弁いただきたいと思います。
○堂本暁子君 確かに私もこの法律が遅きに失したとは思いますけれども、今度できたことは皆様の努力と、そして私たちもこれをどんどんいい方向に大きくしていかなければいけない法律ではないか、長い目で見ていかなければいけない。そういう意味で肯定的に見ている中で申し上げていることなんですけれども、やはり海については大変バランスを欠いている。やはり野生生物といった場合には陸上、そしてマリン、海と両方が対象であることがどうしても前提だと思うので、そこのところを早急に補っていただきたい。
 そして、先ほど久保田議員のウミガメの話の続きで少し伺いたいんですけれども、レッドデータブックによると、これが国際的な選定だと絶滅危惧種になっているわけですね。そういったものは日本にはたくさん来るから指定しないんだということの先ほどのお答えがありましたけれども、日本の場合は産卵地で千葉から南は沖縄まで産卵をする。未確認でも太平洋岸に大体百カ所ぐらい、ほとんどの都道府県に卵を産みに来ているということなんですね。そのうちの二カ所しか指定されていない。
 これはやはり日本が産卵に向いているところだから、みんなそれこそ太平洋のこちら側ですからカメが確かに産みに来るんでしょうけれども、日本にたくさんいるからといって、国際的なレベルとそこにギャップがあるというのはやはり問題だというふうに先ほどの質問を伺いながら思いましたけれども、もう一度その点を確認させてください。
○政府委員(伊藤卓雄君) 私どもこの法律で国際希少野生動植物種というものを定義しておりますけれども、ウミガメにつきましてはこれは該当するものとして、つまり附属書Iに掲げられておりますところからこれに該当するものとして指定するに値するというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、国内の措置をどうするかということにつきまして、それは国内法諸法令で管理がされておりますので、そちらの方を前提とした形で規制がなされるというふうに申し上げたわけでございまして、国際種として指定することについては障害はないものと考えております。
○堂本暁子君 ワシントン条約についてですけれども、その附属書Iの留保というところ、先ほどございました譲渡の規制法、ウミガメとか鯨など海洋種が除外されていた。今回の法律ではこういった除外措置というのは継続をなさるおつもりなのかどうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) ウミガメにつきましては、今申し上げましたようにこの法律に基づく国際希少種という指定が可能だというふうに思っております。その点では従来より進歩といいますか、違った点だと思います。鯨につきましては、その保存につきまして別途国際的な対応がなされておりますので、ここのところでは今のところ念頭に置いておらないわけでございます。
○堂本暁子君 もう一つ伺いたいんですが、ゼニガタアザラシ、これはレッドデータブックの中に入ってくる危急種なんですけれども、今回は危急種まではなかなか対象にならないということです。
 これが北海道に二百五十頭ぐらいしかいない。どうしてもこれはもう今指定を必要とするような種だと専門の先生はおっしゃっていらっしゃいますけれども、こういった二百五十頭から三百五十頭前後で、しかも日本のこの地域にしかいないそういったものなんですが、今回はそういったものが果たしてどういう扱いを受けるのか。海のことに関連して、ほかのことは一般的になるんですけれども、海のことに関連してはこのことを伺っておきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 実は、種の指定に関しましては、この法律の成立を待ちましてなされます閣議決定で基本方針を定めて指定するということになりますので、余り個々の種について指定の可否を申し上げるだけの準備が実はできておらないということでございますけれども、ゼニガタアザラシにつきましては現在のところ数については横ばいという情報もございますが、いずれにしましても生物学的データの集積が不十分であると。
 それから、実は御存じのように漁業に被害を与えておるというようなことで漁業との調整も必要になってくるということでございますので、直ちにこの段階で法律の対象となるかどうかということはお答えできないわけでございまして、いずれにしましてもこういった問題について調査研究あるいは地元との調整といったことを踏まえて検討してまいりたいと思います。
○堂本暁子君 それでは、この法律の問題について伺いたいんですが、まずこのタイトルになっております「絶滅のおそれ」の定義について伺いたいと思います。
 第四条の第一項では、「「絶滅のおそれ」とはこ「種の存続に支障を来す程度」というふうに定義してあるんですが、この定義は科学的あるいは客観的な基準によってどのように判断されるんでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 実は法律の案文を書きますときにも非常に悩んだ箇所でございますけれども、どのように書いても数字的な形で、あるいはかなり量的な形での御説明というのは難しゅうございましてこういう定性的な表現になっておるわけでございます。強いて言うならば、その種が野生の状態で安定して再生産を重ねていくことが危ぶまれるといった程度にまで個体数が減少している状態、こういうふうに申し上げることができるかと思います。
 したがいまして、種の特性によってそれぞれ異なってまいるかと思いますが、いずれにしてもその個体数の状況、それから生息地の状況を総合的に判断する。その場合に、総合的といいますが、それぞれの分野の先生方の御意見を聞いて、これについてはどの程度かというにとを、どの程度にまで至ったら危ないのかということを御判断いただくしかないのではないかというふうに考えております。
○堂本暁子君 レッドデータブックも全部を網羅してないということですので、そういたしますと非常に客観的に、例えば研究がなされてない未確認の種もたくさんあると思います。植物にしろ昆虫にしろ、特に微生物に多いと思います。
 しかし、先ほど申し上げたみたいに、やはり大事なのはそういったトキのような有名な種ではございませんで、むしろそういった一つ一つの種が大変大事だと思うんです。そういったときに、目立って減ったものだけ、数えられるだけのものが対象になるというのだと不十分だと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) おっしゃる御趣旨は十分理解できるわけでございますが、私どもといたしましては自然保護という立場で従来から自然環境保全法というものを所管しておりますが、ここにおきまして生態系の保全を図ることが非常に大
事であるという考え方に立ちまして、地域丸ごとの指定制度を運用してきておるというわけでございます。これの運用の程度についての御議論はあるといたしましても、それともう一つ別の柱といたしまして、種に着目をいたした保存の仕方もあるということで、先生御案内のような世界の動向を踏まえた新しい視野からの取り組みをしたわけでございます。
 確かに今例を出しておりますのはイリオモテヤマネコとかそういった非常に著名なものであるわけですが、これは従来から学術的な価値もあるということで研究のデータがあるので、かなり説明しやすいということで例示しておるわけでございます。実際そういったものを守るときには何らかの根拠が必要でございますので、研究者、学者の情報がない限りは、確かに先生おっしゃるような見えないとこかで知れざるものがなくなっているかなという危惧はあるにしても、そこまでこの種という観点からの指定はなかなか難しかろうと。
 繰り返しになりますが、そういったものを一つのメルクマールにしながら、それを取り巻く生態系を守っていくというもう一つの考え方もあわせて行っていく必要があるだろうと考えております。
○堂本暁子君 少し異論がありますが、先へ行かせていただきます。
 トキのような例を見ましても非常にもう少なくなってしまった種、本当に生存が危ぶまれるという種になった場合それを回復することが非常に困難であると思います。そういった回復が困難な状態になってからその努力をしたのでは遅いんじゃないでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 今私どもがこういった問題に取り組んでいるのは、まさにそういった趣旨から取り組んでいるわけでございます。
○堂本暁子君 そういう御趣旨だとした場合に、やはりレッドデータブックの中に絶滅の危惧種ですとか危急種ですとか希少種というランクがついていますけれども、まさに今おっしゃったことが目的であるとすれば、もうそういった先細りになりかけている種、それがここにあるわけですね。これは全部対象となさいますか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 私どもといたしましては、絶滅危惧種というふうに言われるものから取り組んでいきたいというふうに考えております。
 プライオリティーということからいきますと、やはりそういうところからやるのがいろんな意味での能力、それから情報の集積その他からいっても効率的ではないかというふうに考えております。
○堂本暁子君 そういたしますと、絶滅危惧種からということ、一番重症な種からということでございましょうが、植物、動物、それぞれどのぐらいの数を予定していらっしゃいますか。
○政府委員(伊藤卓雄君) これも先ほど申し上げました「絶滅のおそれ」についての抽象的な判断基準をもう少し具体化していって、かつレッドデータブック作成の過程で我々が得た情報をもとにして、専門家の御判断を得て決める必要がありますけれども、従来型の法律でカバーしてきておりますいわゆる特殊鳥類関係からくるものと、それから新規にこの法律を得ることによって対象とするものとがあるわけですが、それらを合わせて全部で六十ぐらいが精いっぱいかなという考えを持っております。
○堂本暁子君 絶滅危惧種、植物で百四十七、無脊椎動物で六十一、それから脊椎動物で四十九、全部で二百五十七、これが絶滅危惧種ですね、だけでもそれだけある。その中の六十種というといかにも少なくて、やはりもう余りにもこれは点のような気がするんです。
 確かに情報不足であったとしても、今おっしゃったように、日本の専門家が知恵を絞り、知識を絞りしてつくったこのレッドデータブックはやはり全部入れるべきだと思いますけれども、政令で定めるということになっているこの手続ですね、後は内閣総理大臣が諮問機関をつくって自然環境保全審議会によると。大変何か手続的にこれを見ますといろいろ各省庁その整合性を保ちながら方針をお立てになるようです。
 そういったところで、けさ大臣も民主的な国ですからとおっしゃいました。確かに民主的な国であって、漁業者の利害があるであろう。象牙業者の利害があるであろう。それは確かにあると思います。しかし、その漁業者もそれから象牙業者も全部乗ったこの私たちが住む生態系が生活できなくなる。その可能性がこの一、二年はないかもしれません。しかし、二十一世紀にないということは世代間の公平という環境の理念から言えば、私はやはり今環境庁は相当思い切った強い態度をおとりになるべきではないかというふうに思うんです。
 そこの政令の決め方、それから自然環境保全審議会でのお決めになり方、そのことによって、我々が大変喜んでいるその動物や植物の種を保全していくということが果たしてどれだけの速さで、またどれだけの正確さ、確実さをもって実行できるのか、その辺はどうお考えでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 私どもも実は大変そういう点ではもどかしい思いをしながら今回の法律の準備をしてきたわけでございますが、データ一つにしましても、相手方を説得するだけの、特にその利害が絡む、あるいは生業、なりわいをやっている人たちも含めて御理解をいただけるような論理なり情報なりそういった準備が必ずしも十分ではない。したがって、今回私が非常な利点として考えておりますのは、希少野生動植物種の保存基本方針というものを政府レベルで決めるということになった。確かにこれを決めるにはまたハードルがあり、頭をぶつけるかもわかりませんが、それを政府レベルで考えることになったというのは大変なことではないか。これはどこの国にも誇り得ることであると思います。
 何もこの野生動植物の保存というのは環境庁だけがひとり頑張ってできることではありませんので、そこで関係省庁も自分の事業に、政策にかかわることには取り組んでいく、それから事業者にしてもあるいは国民にしてもそれを理解してやっていただくというそういうことを訴えるいい材料にもなるというふうに考えておりますので、我々としましてはこういった機会に精いっぱい努力をしていきたいと考えております。
○堂本暁子君 六十種と、この法案の目的の第一条には、「野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保全し」とございます。その良好な自然環境の保全というのが果たして六十種の種を指定することで可能なのかどうか、良好な自然環境をつくるという形がそれで実現できるのかどうか、もう一回根本的なところに戻って伺いたいのですが、お願いいたします。
○政府委員(伊藤卓雄君) 法律の第一条「目的」で書いておる部分でございますけれども、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする」。つまり、ここだけ読みますと、この絶滅種の保存だけで良好な自然を保全できるかのごとくも読めます。けれども、実は「ことにより」ということでございまして、これは一つの大きな材料というふうにお考えいただいたらよろしいんじゃないかと思います。
 「良好な自然環境」という表現といたしましては、むしろ国民生活の基盤としての良好な状態を維持している自然状態というくらいの意味でございまして、生態系あるいは自然風景地、それの保護といったような意味合いも含めておるところでございます。
○堂本暁子君 この良好な環境と申しますのは、最初にバイオダイバーシティー、生物の多様性、それはまさに多様なありとあらゆる動植物が健全に共生する、一緒に生存するという状態だろうというふうに私は理解したいと思うし、多分今国際的にもそういったことで地球環境そして国の環境、地域の環境が見直されてきているのだろうと思うんです。ですから、その種の危険ということがもし本当に良好な自然環境があればそこで種の
絶滅というのはないはずだと思うんです。
 ですから、このレッドデータブック、環境庁がおつくりになったレッドデータブックの中で、どこをあけてみましても、いろんなその生存の危機のこれはヤンバルクイナ、沖縄ですね・ツルの一種と書いてありますけれども、これの例えば「生存に対する脅威」というところを見ますと、林道の建設や森林伐採、農業用地の拡大、ダム建設などによる生息地の森林地帯が減っているためというふうに書いてございます。一種一種ここに挙げであるものを見ると、それに類したことが多かれ少なかれ書いてあるわけです。
 ということは、圧迫の要因というのがもう非常に、日本の建設と申しますか、そういった開発と反比例してどんどん減ってきている。したがって、どんなにその六十種を保存しても、一方で建設のつち音高くいったのでは、ことしの白書の題は違いますが、去年は「環境保全型社会への変革に向けて」という白書の題でしたが、それを実現するためには、そして野生生物を守るためには、こういった建設の側の問題が解決しない限りもう減っていくスピードの方がはるかに遠いんだと思うんです。良好な自然環境というのはあくまでもそういったいろんな種がいっぱいいるということ。それがどう壊れてきたか。それは、やはり戦後の高度経済成長期以降の開発それから乱獲、この開発行為や乱獲によってこういった生物が急速に減ってきた。そのことはだれも否定できない現実の事実だと思います。まさにその良好な自然環境は失われつつある。現在進行中の状態の中で、今普通に見られている生物種、ごく一般の、絶滅に瀕している種というのは今特殊化されて見られていますが、そういったレッドデータブックに出ない種、こういった種もそれぞれが絶滅の危機に今や瀕している。言ってみれば予備軍なのではないかというふうに思います。
 今までのお話で、種を大事にするということは、言ってみればもう重症の患者にカンフル剤なり抗生物質を注射するようなそういったことで何とか保とうということだと思いますけれども、そういった種をつくってしまうよりもやはりプライマリーケア、事前の予防の方がより大事なのではないかというふうに思います。
 一つ例を挙げたいんですが、秋の七草の一つ、日本人が昔からなじみ親しんできた草花にフジバカマがあります。これは恐らく日本じゅうどこへ行ってもフジバカマがあったから七草に入ったんだと思いますけれども、そのフジバカマがこのレッドデータブックの中にどういう形で入っているかというと、重点調査。皮肉なんですよ、七種の一つなんです。七草というのは私たちにとって歌に詠まれそして親しまれてきたその七草が、今やレッドデータブックの中で重点調査七種、本当にその七というのが私はもう何というか皮肉としか言いようがないというふうに思うんですけれども、ここのところにどういうふうに書かれているかといえばまさに開発のためにそのフジバカマがどんどんなくなってきている。
 その植物のことで、これはきのう予告をしていないことなんですけれども一つ伺いたいと思いますが、その絶滅してしまったそういった普通種、こういったものが、どうしてもその普通種を含んだ絶滅に瀕しているフジバカマをそういうふうにしないためには、やはりその生態系全体を守る施策を展開する必要があるのではないかというふうに思います。
 この法律の中の論議ではなくて、そういった組み立て方として先ほどおっしゃいました全体という形で言うと自然環境保全法というふうにおっしゃるんでしょうけれども、そうではなくて、もう二十年前、七二年にあの法律ができたときにはまだこれほど危機的な状況ではなかった。先ほど大臣がおっしゃったように、年に四万種減っていくような、植物は一日に二つずつ日本で減っていると言われています。そういった幾何級数的な減り方。言ってみれば全体が命やもう風邪を引き始めた。病気になり始めた。プライマリーケアではもう遅いくらいの状況になったときに、今この法体系でいいのか。それとももっと全体を網羅したような発想というかそういったものは、環境庁としてはどういう施策をこれから講じていかれようと思っていらっしゃるのか、その点を確認させていただきたい。
○政府委員(伊藤卓雄君) 確かに先生のおっしゃるように、こういった非常に特別に考えなきゃいけない問題についての対応と、それからむしろ我々のふだんの生活から考えますと、ほんの身近なところに生きておる動物あるいは植物との関係というものもまた非常に大事であるわけでございます。実は法律的にはなじみがたいわけでございますけれども、私ども心し、また自治体などでは非常にその点を考えまして身近な自然を守るということに力を入れ始めております。
 私どもといたしましても、例えば自治体の行う事業に対する補助制度でございますが、「ふるさといきものふれあいの里」といったものの整備事業に対する補助などをやっておりますが、自治体は自治体で独自にそういったものも進めております。そういうことで、いわば人里近い自然を守るということも今後の大きな課題であろうと考えております。
○堂本暁子君 そういった民意に頼っているのでは弱いと思うんです。
 先ほど大変不名誉な野生動物消費国という言葉がありましたけれども、それは国内でも全く同じです。三十年前にどこの山に行ってもあったコマクサのような高山植物、そういった高山植物はあっという間に今姿を消しました。どうしてですか。みんな盗んでいくからですよ。本当に私は情けないと思いますけれども、そういった何とか運動ということで、それじゃそういった人たちを一人一人どうするのか。今回は業者を指定するということで大変結構だと思います。もうこれは大歓迎なんですけれども、しかしそれをやらなければならない日本というのは、倫理と申しますか、自然に対してのもっと豊かさを持っていたはずの日本がこんなに自然を本当に乱暴にむしり取るようなことをやるということは、大変私は情けないと思うんです。
 そうであれば、やはり強い規制というものをやるよりしょうがない。アメリカなんかの場合だったら、国立公園なんかの指定があれば、それから種の指定があってもそうですけれども、絶滅法でもそうだそうですが、着手されている工事でも発見されたら中止しなければならない。日本はそうじゃない。長良川一つにしても、これだけ貴重な種ということでどれだけこの委員会で議論しているかわかりませんが、それをとめることはできない。それは一つの力関係だと思うんです。そういうことからいいますと、六十の種の地域だけでは不十分なのではないかという気がいたします。
 フジバカマとか、それから今植物の話が出たのでもう一つ追加したいんですが、これはきのう申し上げなかったんですが、動物の方については登録制をとっている。そして植物について、植物を増殖してそれを売るという場合、譲渡する場合に登録制をとる必要がないのかどうかということです。植物については、例えば日本植物園協会のようなところがありますけれども、そういったきちんとしたところ。山から盗んできてそれを増殖してそして売っているそういった業者というのは、きちんとやはり取り締まっていかなければいけないんではないか。そういうことを今回登録制にするとか、植物についてもワシントン条約で盛られているような考え方でそういった規制ができないかどうか、伺いたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 実はこの法案の第三十条に特定事業という制度を設けておりまして、ここは四条の五項で定めますところの特定国内希少野生動植物種を譲り渡し、つまり販売等をする事業を特定事業として届けさせて、その販売ルート等を確認することによって違法な採取等が行われないようにしようという目的のものでございます。
 これはあくまでも個々の植物についての取引まで一々許認可にかかわ召しめるのは非常に難しい
わけでございますが、商業的に繁殖させることができる、それの正規ルートだけをきちっと押さえて他のものを排除しようという趣旨のものでございますので、これに何を決めるかは政令の問題でございますけれども、先生の御趣旨にはかなり沿ったものではないかと考えております。
○堂本暁子君 私の知る限り、やはり植物についてはきちんとしたと申しますか、そういった業者じゃない業者がはびこっているということは事実だと思います。東北の山へ行こうがどこへ行こうが、車を持ってきてワゴンでどんどん高山植物を取っていっている業者はたくさんいます。そういった人たちがふやして売っている。この商売は何としても根を絶たなければいけないと思うのですが、例えば具体的に日本植物園協会のような、それだけというわけにはいかないかもしれませんけれども、そういったある程度きちんとしたところ以外はきちんと取り締まるということをやっていただきたいと思いますが、それはお願いをしておきます。
 それから次に、この絶滅の種、それからその先に保全をする種の地域を決めるということがあるんですけれども、その地域の判定と申しますか、そういったものはどういう形でなさることになるのでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 三十六条に「生息地等保護区」という規定を設けておりますけれども、これは種の保存のために、「その個体の生息地又は生育地及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域であって」云々という条項がございまして、これもそれぞれの種の生息状況を十分調査した上でそれの保存に必要な範囲ということになろうかと思いますので、具体的な種なり生息状況に従って区々になるものと考えております。
○堂本暁子君 そういたしますと、やはり大変狭い地域ということになりますね。先ほどの議論と重なってまいりますけれども、やはり普通の一般に絶滅に瀕してない種、そういった種もやはり保存していく。そして、そういった生態系全体を保全するという目的、そういった目的は、今この法律から離れてあえて伺いたいんですが、そういった法律を制定しなければならないというふうにはお考えになりますでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) この法律で種を指定いたしますと、それをメルクマールといたしましてその周辺地域が指定地域になるということになりますので、その地域に含まれるものは当然他の種も一体的に守られるということになるわけでございます。先生御指摘のように、何でもかんでも加えるというのはなかなか難しいわけでございまして、その辺のとり方をどうするのか。一応種をメルクマールにするというのはこの法律の考え方でございますが、あとは非常に広いとり方としては、やはり私ども従来から持っております自然環境保全法に基づく区域だろうかと思います。
 これは御案内のとおり国レベルで指定しますものは非常に広いものでございますが、都道府県レベルのものは一ヘクタール程度のものまで現に指定されておりまして、これはかなり数もふえてきているということでございますから、こういったものも活用して御趣旨に沿うようにしていくのが妥当ではないかと考えております。
○堂本暁子君 従来の県のレベルまで含みましても、例えば自然環境保全法で定められている原生自然環境保全地域とか、それから自然環境保全地域、これが十分に守られているのであれば恐らく日本はこんなに種が絶滅の危機に瀕していないのではないかというふうに思います。
 なぜなら、これは科学的に十身言えることではないかもしれませんが、個体としては非常に種が減っているのはアメリカである。質的に減っているのは日本である。数の上で世界でも非常に早く減っているのは日本だということを言った自然科学者の方がおられましたけれども、それは日本がもともと大変豊かに数多く自然を持っている。しかし、こういった自然環境保全法があっても、それが十分にそれを守るだけの機能を果たしてないからこそ今やこういう危機的な動植物が出てきてしまったというふうに思うんです。
 もう一回あえて伺いますけれども、そうしますと今局長の御答弁ですと、この自然環境保全法が十分に効果を上げたというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 何をもって十分かということもございますけれども、必ずしも十分とは言いがたかったんじゃないかと思います。
 と申しますのは、実は国指定の地域におきましても、原生自然環境保全地域が五地域、それから自然環境保全地域が九地域というところにとどまっております。実はその後いろいろ努力をしておりまして、近々かなり広大な自然環境保全地域をもう一カ所指定するという段取りにしておりますけれども、こういったものはいずれにしても手続というものがございまして、土地にかかわるものでありますと関係者の御理解を得る必要がある。その基礎にはいろんなデータも必要であるということでなかなか進みがたかったという点があるわけです。
 先ほどちょっと触れましたが都道府県レベルのものも最近非常にふえておりまして、全国で五百十一カ所、七万ヘクタールというようなことになっておりますほか、市町村レベルを含めまして、いろんな条例とか要綱とかというような形で、自然環境を守るあるいは生態系を守るという発想での行政の取り組みが始まったというところで、二十年たっていますので遅きに失したとはいいながら、そういった思想が芽生えだということは進歩ではないかと考えております。
○堂本暁子君 確かに遅きに失したということですけれども、もう一つ、やはり日本の場合には諸外国に比べて指定されたところでの規制の仕方、例えば先ほども例にとりましたアメリカの場合なんかに比べて、そこでもってもう工事が始まっていた場合にそれをとめるというようなことが、実際に自然が優位がそれとも開発が優位か、常に開発が優位なわけです。
 ですから、今までも長良川にしろ二風谷にしろどこにしろ、そこに絶滅種、これからは恐らく日本じゅうそういう問題が今までも高度経済成長の間に起こり、今後さらに起こっていくであろう。その場合に、本当にこれは一環境庁の問題ではなくてやはり日本国の問題でありましょうし、そして世界規模で、今環境サミットを前に、日本がもし地球環境でイニシアチブをとるのであれば、日本は率先してそこのところは、自分の国の中でそれぐらいの強い自然保護と申しますか、本当にバイオダイバーシティーを守る、生物の多様性の保全に積極的に取り組む姿勢があって初めて途上国への技術移転にしろそれからリーダーシップがとれるんだと私は思います。それが野生生物消費大国であっては何も物が言えないと思うんです。
 それだけに、くどいようですけれども、種の指定を軸とした今度の新しい法体系、この法体系とそれから今度ナイロビで採択された生物の多様性条約、これと比べますとやはりそこの理念が時代性を反映していないんではないか。
 ですから、種の指定を軸とした新法の体系ではなくて、生態系の機能それ自体をどのように守るのか。例えば自然環境というのは野生動物だけで成立しているわけではありません。その野生動物が私たちも含めて生きていくためには、土があり大気があり水があり、そういった無機的な環境と一緒に構成されている。そういったお互いの相互作用の中で成り立っているとすれば、そういう自然環境をどう本当に機能として守っていけるのか、そういった視点が私は必要なんではないか。この法律はこの法律で、本来ならばそういった生態系を守るというものの中に、むしろ種を軸としたさらに詳しい視点があっていいんではないかと思うんですが、いかがお考えですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 今回の法律は種に視点を置いた法律でございますけれども、繰り返しになりますが、生態系の保全という形で自然を守っていく必要があるという視点は、既に二十年前に私どもは自然環境保全法並びにこれに基づく基本
方針でもって明らかにしているわけでございます。
 したがいまして、国際的な動向におくれていたかどうかという点でございますけれども、新たな国際的な動向を踏まえて改めて、従来我々としては取り組んでいたつもりでございますけれども、これをさらに周知徹底を図っていく。それで、今回の種にも着目した法律も得ますれば、両々相まって効果的な対策が進められることになるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○堂本暁子君 先ほど自然環境保全法は決して十分ではなかったというふうに御答弁なさいましたけれども、そういうことからいいますと、前の法律と今回の法律の間のすき間というか、もっと大きなギャップがあると思うんです。二十年前の法律は時代的にももう大変おくれている。
 そういう意味で言うと、明確に伺いたいんですが、自然環境保全法改正案を充実するために必要なのか、それとも種の保全という方からアプローチするとすれば、六十種ではなくてもっと膨大に多い種、何百、何千という種を今度種の側から面を広げていくという形でなさるのか、そういったことを伺わせてください。
○政府委員(伊藤卓雄君) 自然環境保全法が十分でなかったという趣旨は、自然環境保全法ができたときの立て方、あるいはそれを動かしていく上での基本方針には非常に立派なことが書いてある。それを必ずしもきちっとすべて押さえてきていたと言えるかどうか。その点に反省すべき点が多いという意味で申し上げたのでございまして、法律の構えとしては、生態系を守るという意味では道具立てとしては立派なものだと私は考えております。
 ただ、もう一つの視点として、種を守るという点からの武器がなかったということで今回の法律を得たいと思っておるわけでございますけれども、ここでもやはり野生種を守るための基本的な考え方を特別に取り出して、政府の考え方として国民に向けていくということで、これはまた大きな進歩であろうと思います。
 さらに、何が欠けているかという点について、法律的に何が欠けているかというのはいろいろ研究しなければいけませんけれども、実は大きな自然環境保全法の傘の下には、都市部におきます都市緑地保全であるとかあるいは森林における森林保護であるとか、それはそれなりの目的を持ちつつも自然環境保全にかかわりのあるものがずっといわば関連して存在しております。それらを有機的に自環法の思想のもとに動かしていくことが改めて必要になっているんではないかというふうに思っているところでございます。
○堂本暁子君 繰り返しになりますけれども、さっきおっしゃった緑地法とか、都市の場合でも非常に不十分な点はやはりそこの中に日本の場合だったらばきちんと規制ができないということなんです。それから保護地区などにしても、私有地である場合、それを利用するということは、それが持続的な形での利用というのはいいことだと思うんですけれども、それが開発につながってしまうということがリゾート法などの例でもよくわかるように、どんどん今や開発につながっていっている。
 一番いい証拠は、環境庁でおつくりになったレッドデータブックそのものだと思います。ほとんどがさっき読んだみたいに、森林の伐採とか開発とかダムの建設とか、まさにそういうことで減ってきているわけです。
 ですから、七二年に制定された自然環境保全法が理想的なことが書いてあることは事実かもしれません。しかし、それが機能してない。少なくともこの中でレッドデータブックが書いている原因の部分、その原因をとめることができない。書いてあることは立派なんですけれども、そこでもって環境破壊をストップさせるだけの強さが法的にないということの方が問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 強力にストップするという意味、あるいはその法律の思想だけを貫くという意味では、私ども原生自然環境保全地域とか自然環境保全地域という制度をもってそれでカバーしてきておるわけでございますが、他の部分、例えば都市部とか林野の部分になりますと必ずしもその点だけで律し切れないというところから、必ずしもそういったところまで私どもの保全地域の網をかぶせることができない。
 つまり、それは、そこがまさに生活の接点であるわけでございますので、そこにはまた別の視点から人間と生物の共存といいますか、そういった思想での政策を打ち出してもらう必要があるというふうに思うわけです。
 実は、今回の法律改正の過程で若干いろいろございましたけれども、各省なりなんなりでは非常な議論をいたしました。それは単に自分たちが開発分野を受け持っているだけでなくて、人間の環境も守るし動物たちのすみよい場所も守るし、意志もあるし力も持っている。それをやろうとしているのだからやらせてくれというようなそういう議論もしたぐらいでございまして、この法律をきっかけに政府としても随分変わってくる。それの先駆けとしてこの基本方針ではぜひ思想をうたいたいというふうに考えているところでございます。
○堂本暁子君 大いに期待したいところですけれども、まさに今御答弁くださった原生自然環境保全地域と自然環境保全地域外の部分、まさにそこが問題だと思うんです。というのは、そこに指定されたのは一五%と聞いております、間違いなければ。とすると、あと残りの八五%のところは、むしろ人里に近い地域かもしれませんしもっと山奥かもしれませんが、問題はまさにその八五%の領域だろうと思います、国土の。
 そこがもうここに出ているように、その一五%の中にいる動物や植物だけを保全すればいいのではなくて、八五%のところの動植物をどう保全していくのかということがむしろ問題なんではないか。だから指定されている中での恐らく絶滅種は非常に少ないだろうと思います。
 ですから、ここに書いてあるのを見ても開発のためというふうに書いてあるわけですから、むしろどんどんそこに人が住んでいくようになり、そして人が住んでなくても開発、道路かもしれません、いろいろそういったものが進んでいった場合に、野生動植物が破壊されていく、それは野生動植物だけではなくて生態系そのものが破壊されていく。あえて私は生物の多様性と申し上げたいのは、生物の多様性の概念の下に今や生態系というくらいに広くその言葉が使われていると思うのです、国際的には。
 ですから、そういったことからいいますと、今おっしゃったむしろ今度は人里に近いところが問題になります。その領域こそが今ギャップがあるのではないでしょうかと申し上げたギャップの部分になってきているというふうに思います。そこのところをもっと厳密に伺いたいのですけれども、例えば特に日本の場合、もう歴史的に古く地形的にも大変多様ですけれども、それと同時に田んぼがあるとか畑があるとか、雑木林があるとか、牧がありカヤ場がありあぜ道があります。ため池がある。池がある。小川がある。それからいろいろとそういった生活の中の自然がたくさんありました。
 その中で生息してきた生物が非常に多かったわけです。それが理想的には、私は人と自然のつき合いというのは、そういった自然環境の中で持続的に生物も生き生きと生き、そしてそれを利用していくというあり方があっていいのだろうと思うんです。ですから、これから基本構想をお立てになるというときに、例えば川一つとっても本当にセメントで固めてしまった河川がいいのか。ドイツがやり始めているように自然の、もうわざわざつくったセメントを壊してまで昔の自然のままの流れに戻しているというのがヨーロッパの今ややり方です。最初から川の治水のやり方もおのずと違ってきていいはずなんです。
 ですから、長良川や二風谷だけではありませんけれども、ありとあらゆる日本の河川のつくり方
にしても、こういった野生動物を減らさない、サステーナブルディベロプメントの発想がむしろ建設する側にこそ入ってもいいのではないか。そして、そういったところから農山村の自然やそして都市の中の自然に至るまで自然環境を保全していく。そういったことをやるために何か今ギャップという形で申し上げた部分、そこに新しい法体系があって、その中にまたさらにこれが入るというような形ではできないものでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 先生の御説十分拝聴いたしましたけれども、具体的にそういったものを法体系にするということになりますとちょっと私も今のところ推察しかねておりますけれども、いずれにしても、やっとそういった身近なものこそ大事だというのが自治体も含めての為政者あるいは実際に事業をやろうとしている皆さんのお考えにもなってきている。
 これは時代であるわけですけれども、そこに我々が思想を与えるというと非常に口幅ったいのですけれども、考え方を整理し考え方を与えていく、それこそ我々非常に必要な仕事じゃないかと考えているところでございまして、ちょっと法律云々については御勘弁いただきたいと思います。
○堂本暁子君 特にレッドデータブックの中にも鳥がたくさん出てきますけれども、それは植物も同じかもしれませんが、大変に湿地や川や沼や田んぼが減ってきている。セメントで固められてきているということが大きな原因の一つではないか。ウェットランドという言葉もありますけれども、そういった生態系の保存、そして日本列島を取り囲んでいる例えば海岸線、ずっと沿岸のそういった生態系の保全というものも非常に積極的に対象にしなければいけないと思うんです。
 特に今度の種の指定、その中でそういったものを重視していくお考えはおありになりますでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 今回の種の指定について、特にそれを重視するという考えはございませんけれども、十分その生息地の状況等は勘案していきたいと思っております。
 実は自治体等では小まめに小さな沼であるとかあるいは湿原であるとかというものを自環地域として指定しておりまして、そういったような自治体の取り組みというものも鼓舞してまいりたいと考えているところでございます。
○堂本暁子君 自治体との関係、それからこれを実際に運用する場合に、そういった地方自治体だけではなくて、その地域の人たちがこれから指定なさるということなんですけれども、実際に法律ができても、次にどれだけ施行された後に実行できるかということが一番大きなポイントだと思います。
 例えばその土地の所有者、それから指定をするその業に当たる方たちが実際にどれだけ仕事ができるのかということが心配になるんですけれども、そういった意味でまだトップダウンだという感じがするんです。もうこちら、中央で決めてそのことが一つの法律として運用されていく。しかし、今度のこの法律ほど地域でそれぞれ北海道は北海道、沖縄は沖縄で、その地域の環境保全の団体なりそれからずっと環境を見てきた人たちの知恵や知識が役に立つときはないと思うんです。
 そういった意味で本当にどんどんこの法律が功を奏して、そして保全が実現して、それがしかも速やかにできるようなふうにできるのかどうか、その点はどのように今考えておられますか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 何せ初めての制度でございまして、これの運用というのは私どもも非常に頭を悩ますところでございます。今先生まさにおっしゃいましたように、これを国の力、環境庁の力だけでやれることではもちろんありませんで、特に従来の国立公園などのような何千ヘクタールというような広いものでもございませんので、それぞれの地域に応じて自然をよく知っている方々に御協力を得なきゃいかぬということになろうかと思います。
 もちろん自治体を初めといたしましてそういった地域の方、特に種の保存ということについての意識がおありで、かつ熱意と識見を有する方を活用できればと思っておりまして、実は五十一条に希少野生動植物種保存推進員といった制度も入れておるわけでございますけれども、こういった方々に啓蒙活動あるいは調査活動等もぜひお願いできればというふうに思っております。
○堂本暁子君 その場合、民間の人とかそういった人たちの市民団体で自然保護をやっている野鳥の会などもあります。そういった方たちも加えてくださるんでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 民間団体という意味でのくくり方でございませんで、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に熱意と識見を有する者のうちから」次の活動を行うのにふさわしい能力をお持ちの方にはお願いをしたいというふうに考えております。
○堂本暁子君 なかなか、この議論は難しくて、生態系全体をどう守るか、そして種を軸としての指定というのでは不十分ではないかという議論は、私はやはり時代を先取りして二十一世紀に日本の自然を残すのであれば、すみやすい、人間と動植物が共生じていける、一緒にすんでいける自然を私たちがなくさないのであれば、やはりこの法律とそして全体を守る自然環境保全法をより強化してもいいのかもしれませんが、何らかのそういうことがないとまだ不十分なんではないかということを何度も言っていますが、あえてそれを言わせていただいて次に移りたいと思います。
 それは、この答申の中でも言われていますし、それから自然環境保全審議会の答申の中にも遺伝子の多様性ということが書いてあります。「野生生物保護を進めるとき、生物の多様性を維持する意味で生態系の保護も重要である。多様性の維持とは、それぞれの地域に成立した固有の生物相を維持することが基本」だけれども、そして守るためには「遺伝子の多様性」ということで、まさに今までるる申し上げてきた生態系の多様性とそしてこの種、今この法律が主に軸にしている種、そしてさらにもう一つあるのが遺伝子の多様性だと思います。そして、この条約の中でも遺伝子の多様性ということを言っています。それはやはり種を守るだけではなくて遺伝子の多様性というのがきちんと守られるような、どういう守り方をするのかというのがやはりこれも時代を先取りした発想としては必要だと思うんですが、その点がこの法律では全く触れられていません。この点について今後どのような対策をおとりになるおつもりでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 種は、恐らく遺伝子という点から見ますと、いろんな形で進化してきた形の最新の状態として発現しているものと思うわけでございますけれども、それを豊かな形で保っていくにはやはり生態系という形で守るのが一番妥当かと思われるわけです。
 ただ、遺伝子という非常にミクロな形に着目しただけの守り方というのがあり得るのかどうか、ちょっとこれはよく検討する必要があるわけでございますけれども、今回の法律では、そういった視点まではとても研究し切れておりませんので取り組んでおらないわけでございます。
○堂本暁子君 私はやはりあるのではないかと思うんですね。
 例えば絶滅に瀕した種が存在しない地域で遺伝子的には保存したいと思う種がたくさんある地域、それは必ずあると思います。そして、それは必ずしも原生自然地域と重なっているとは限らない。とすれば、そういった危機に瀕していない種、危機に瀕している種がない限りはその保護地区というのはできないわけですから、この法律で言えば。ですから、そうではなくてもやはり自然種として保全していく。それが植物園なり施設でもってただ保全されるのではなくて、あくまでもその地域内保存ということの観点が必要なわけで、そういったための観点というのは必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) ちょっと私理解が行き届きませんけれども、遺伝子に着目して種を守るというのと、私どもが絶滅のおそれがある種を守
るということとどういう関連で考えたらよろしいのか、私も理解に苦しんでおります。遺伝子だけを守るためにある種に着目するというのは、ちょっと大臣にお願いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) 少し問題を整理してみたらいいと思うんですが、私どもすべて遺伝子で成り立っているわけで、我々の体は遺伝子のキャリアだと私は認識しているわけでありまして、すべての生物ができてきたときから遺伝子が分裂をして生物が進化してきた。キャリアとしてのそれを保護する体があって、個体になってそれがいろいろ分化して今になっているわけですから、絶滅に瀕する種のその遺伝子だけ取り出してきてそれを保護しても、それからまたその動物が発生する技術を人間は持っておりませんから、その遺伝子だけを保護してとっておいても意味がないんじゃないかと思います。
 例えばクローン人間ができるようになって、遺伝子だけ持っていればその人の複製ができるというようなよくフィクションがありますけれども、そういう時代が来るなら遺伝子だけ取り出して保存を図るということがあるかもしれませんけれども、やっぱり生物の種を守るということに着目して、すなわち生物の種を守ればそれの持っている遺伝子が守られるということだと思います。
○堂本暁子君 遺伝子を取り出して守ろうという、ちょっと私の舌足らずなところがございました。そういうことではなくて、私は生物学者でもないし素人ですけれども、ずっとこの間生物の多様性のことに関与している中で聞いていることは、もう刻々と人工的な遺伝子操作ではない遺伝子の操作が天然の中で起こっているからこそ、これだけ四十億年の間に新しい種が次から次へ生まれてきて、そしてこれだけ豊かな多様性を私たちは今享受しているわけです。
 そういった意味で、種というのが多様であることが次にまたその豊かな自然をつくっていく。今どんどん種が減ってきているわけですから、トキとかそういうのが減るだけではなくて、まさにこれに出ていない昆虫とか微生物とか、それから海洋の中の海藻もありましょう。ありとあらゆるそういう動植物の中の遺伝子の変化の中で多様性というのができてきている。そういう意味で申し上げているわけです。
 ですから、もっと積極的にもう目に見えた、研究された、学者が手にとったそういった客観的なデータのある種の保存だけではなくて、もっと地域としてこの地域なり日本の、先ほどアザラシなんかでもまさに日本国有のものである、日本国有の動植物はもういっぱいあるわけですね。そういった日本にしかない種を保存することがその種を、さもないと一たんなくなってしまったものは絶対に戻ってこないわけです。それだからこそ遺伝子のレベルでも保存するという発想というか理念というものがやはり今世界的に新しくなってきているんだと思います。
 もう一つ、それじゃ長官に一緒に伺いたいと思うんですが、それは同時にモノカルチャライズという言い方で、逆に遺伝子の多様性が少なくなっていくということの恐ろしさがあるわけです。人工的につくられた、遺伝子操作されたものが今度自然界と接触したときに、これも気をつけなければならないことなんですね。そのことに対しての安全の保障、これはまさにこの法律から離れますが、その両方の側面、ネガティブなものとポジティブなものと両方の側面からどのようにお考えになるか、ぜひ伺いたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 一つ前提として、自然のままほっておけばすべての種が絶滅しないということは、必然的にそうなることでは私はないと思います。やはり過去において恐竜が絶滅したりいろいろなものが絶滅し、またそのほかの種が出てくるという変化をずっと起こしていくものだと思います。
 しかし、今地球上で人間がこれだけ支配的になってしまいました。その人間生活によって人為的に種が減っていくのでは、これは大変だからそこを何とかしよう。そして、その上でやるべきことは何かといえば、地球全体の自然に対する人間生活の影響というのを極小に抑えて、そういったものを過去に戻す努力をして、その中でもっていろいろな生物が自然な姿で生きていける状態をつくるというのが一つのやり方だと思うんです。そして、それに対して、今非常に人間生活によって圧迫されちゃってなくなっていくようなものがあるから、それを守っていこうというそういう趣旨でこういう法律が出てきたと。
 外国の環境大臣ともいろいろ話しますけれども、まさにバイオダイバーシティーの条約をつくろうといったことは、これは遺伝子だけ取り出してそれを保護するわけにいかないから、その遺伝子を持っているキャリアである個体を今人為的な力でなくならないように、人為的な活動によって圧迫されているものを保全していこうということでバイオダイバーシティーの条約をつくり、その中で発展途上国等に対しても自然を守ってくださいよ、それで先進国でも自然を守りましょうよと。その中で、まさに自然の遺伝子を守るためにその個体を守っていこうということであります。
 ですから、繰り返しになって失礼でございますが、遺伝子だけ取り出してやることができないからそういうことになる。
 そして、アメリカの例を言われましたけれども、自然環境の保全という面から見ると、アメリカに今我々非常に要望していますことは、地球全体の環境をよくしなければもって自然の環境はよくならない。それには、CO2の発生量もアメリカが二五%を占めて一番多いんですが、なかなか経済があれだけ大きくなって国民の数も多い、経済も悪いというと対応が難しいということが起こってくる。それに対して日本は四・七%の発生で、しかも森林は国土の七〇%近くを占めている。エネルギー効率もいいし炭酸ガスの発生量も少ない。その日本がさらに努力をしようとしている。ただ、日本は国土の面積が小さいですから、いろいろ開発とかなんとかいうことが自然に与える影響は大きい。
 しかしながら、またもう一歩進んで考えますと、私の選挙区などは千葉県ですが、そういうところで開発をいたしませんと、農業を盛んにしダムをつくり、開発をいたしませんと人口が減ります。減るとそれが東京に集中して東京が過密になって、そこで公害が起こるということがあります。だから、我々は国土を平均して発展させようということで、日本じゅうを均衡ある発展をさせようというような政策も立てる。そうすると、やっぱりどうしても地方に投資というものが行くというようないろんな連鎖があると思います。
 そういう中で、大きく言えば世界全体の環境を守ってもってすべての生物、人間も含めて子孫に対して良好な自然を残していこうというサミットの活動。それから個々の国でもって個々の国で努力しなきゃいけないこと。そしてそうした国の中のいろんな状況の中で、やはり日本の中で自環法によってやっている自然の保護の中で、なおかつ減っていくような生物を今やっと新しい視点からこれを保護しようという法律をつくった。だから、あらゆる面で日本の中の開発の志向だとかいろんなものとぶつかると思います。しかし、その中でできる限りのことをやっていこうということでこういう法律を出した。ちょっと話が横道に行って申しわけありませんでしたけれども、委員のおっしゃることと同じことでありまして、要するに遺伝子を保全しようということは種を保全しようということである、こういうことであります。
 それからもう一つ、バイオテクノロジーによる安全性のことでありますけれども、これはバイオダイバーシティーの条約でも論議をされておりますが、論議の状況というのは、ヨーロッパとか日本が比較的これは危ないからきちっとやっていこうよというのに対して、アメリカが余り規制はするなという方向で論議が進みまして、一応採択を見ました。その中で私が主張しましたことは、自然界に出てきてその自然に対して影響を与えない、そこのところの安全を図ろうということで、そういう趣旨が盛られた条約で採択をされており
ます。
 ただ、またこれから議論が進んでいくと思いますけれども、やっぱり委員がおっしゃいますように、人為的にいじったジーンが出ていって、それが野生のものとどうかかわり合うかということは最大に注意をしていかなきゃならないことであるという認識は持っております。
○堂本暁子君 それでは最後に、今安全性が確かに条約には盛られました。伺いたいのは、日本国内で安全性をどうするかということが一つです。
 それから、この条約自体もっとバイオダイバーシティー的な発想がずっと最初の一年ぐらい前はあったんですけれども、結局、ニューヨークで採択されたアジェンダ21も、それから今回ナイロビのこの条約も非常にバイオテクノロジーに寄ってしまって、バイオダイバーシティー的なことが例えば原則の、プリンジパルのところなんかが削られてしまっているのは大変私は残念に思うんですが、同時にグローバルリストも削除されてしまった。もし日本がこれから温暖化の問題だけではなくて生物の多様性の領域でまさにサミットでイニシアチブをとろうということであれば、私は国際的なイニシアチブをとるためには日本がこういったバイオダイバーシティーの視点から、生態系そしてジーンの領域に至るまで、安全にそして多様な自然を確保するということの具体的な提案を国際的に行っていく。同時に、日本の国内の法的なあり方、そして政策を充実していくということが大事だと思います。
 最後に、安全性の問題だけ大臣に確認させていただきます。
○国務大臣(中村正三郎君) 今まで長い間、いろいろなUNCEDに向けての準備会合をしてまいりまして、日本はほとんどの分野といっていいぐらいイニシアチブを、当然発言はできる状態にございますし、やってまいりました。しかしながら、委員におわかりいただきたいのは、まとまらなければしょうがないんです。世界にはいろいろな考えの国があるわけです。その中で一歩一歩まとめて、政治だとか国際的な交渉だとか、そして行政というのはこれは現実でございますから、現実にできることからやっていかなければいけない。理想を言っていてもできなければしょうがない。そういう中で私どもは発言のイニシアチブ、提案のイニシアチブはずっととってきております。
 この間のG7の会議でも、私はバイオテクノロジーの安全については、出てきたものに対する環境保全ということを考えて十分な注意をしていかなきゃいけないよということを十分主張いたしました。それから外国の方たちと話すときも、非常にあれな言葉かもしれないけれども、ともかく私は、人間に役に立つことかもしらぬ、しかし人間の遺伝子を、人間に限らず生物の遺伝子をいじるということはかなり慎重にしなきゃいけないことじゃないかということを常に言っているわけでありまして、問題意識は委員と同じだと思っております。
○堂本暁子君 国内法は。
○国務大臣(中村正三郎君) 国内では、各省庁に非常にまたがるものでありますから、ガイドラインをつくって今やっているわけであります。まだ統一した法律ができるという段階には至っておりませんけれども、やはりそういう問題意識は持って、これから政府部内でいろいろ話し合ってみたいと思います。
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
○須藤良太郎君 久保田先生、堂本先生から大変貴重な御意見なり御提言があったわけでありますけれども、若干重複するところがあると思いますが、私も幾つかお尋ねいたしたいと思います。
 先ほども堂本先生また大臣のやりとりでありましたけれども、野生生物はこの地球上数えられないほどに上るわけでありまして、長い間栄枯盛衰、出現あるいは消滅の歴史をたどってきていると思います。これは人知、人為の及ばない面も非常に多いわけでありますけれども、十数年前のマイアースの「沈みゆく箱舟」、これによりますと、昔の恐竜時代にはほとんどなかった種の絶滅が最近は先ほどお話しのように四万種にも一年間に上ると、大変な話になっておるわけでございます。これは野生生物と野生動植物という使い分けをしっかりしなければならぬと思いますけれども、生物の進化の歴史の中で種の絶滅の進行状況、これにつきまして最新のあるいは最も権威のあるデータがありましたらそれを示していただきたいし、種の絶滅がどういうような進行をしてきたのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 地球に生命が誕生したのが四十数億年前かとも言われるわけでございますが、それ以来、進化の過程でお説のように多くの種が出現し、あるいは気象等の環境の変化の中でまた絶滅をしていったというそういうプロセスが繰り返されているわけでございます。
 特にこれも御指摘のように最近での絶滅のスピードというのは非常に上がっておりまして、これが人為に起因するというところから地球環境問題としても意識されているわけでございますが、種の絶滅の進行状況につきまして、今お触れになりましたマイアースの「沈みゆく箱舟」では、直近の一九七五年から二〇〇〇年にかけては一年に一万種ほど進行しておる。これは一億数千万年前の恐竜時代には千年に一種ぐらい減ると推察されたものが最近ではこういう状況であるということでございますが、別の方の御意見といいますか考え方では、脊椎動物の種についてでございますが、平均存続期間がおよそ五百万年だというふうに言われるわけでございますけれども、過去二億年の百年ごとの平均絶滅数の推定数から割り出しまして、平均自然絶滅比率というものが計算されておりますけれども、これによりますと、およそ一世紀に九十種ぐらいというふうに言われているところでございます。
○須藤良太郎君 次に、自然環境の現状につきまして、最近の資料によりますと、日本の国土は自然植生、耕作植生等でカバーされている地域、これは約九二・七%。森林地域は約六割五分であります。この内訳は自然状態を保った緑は必ずしも多くないわけでありまして、人為的につくられた植林地あるいは耕作地が約四八%ぐらいを占める、こういうふうになっておるわけでございます。
 そこで、環境庁だと思いますけれども、自然環境保全基礎調査、これは第一回が昭和四十八年、そして第三回を五十八年から六十一年、約十数年後にやっておるわけでありますけれども、この結果で見ますと森林面積はほとんど変化はない。しかし、自然林、二次林が三・九%減少、約四%減少している、こういうふうな報告になっておるわけでございます。この十年余りで三・九%という減少が多いのか少ないのかという問題もありますけれども、これはいわゆる国土の表面積が四%変化するわけですから相当大きい問題ではないか、こういうふうに思うわけでございます。この減少と日本の種の絶滅との関係はある程度おわかりになるのかどうか。この点と、種の絶滅の要因について若干御説明いただきたいと思います。
 世界的にはこの森林なり砂漠化の問題が大きく影響して環境を変えておるわけであります。先般もいわゆる熱帯アジアの野生生物生息地の喪失率、こういうものが出ておりまして、相当大きいわけでありますけれども、日本の環境、地面の変化だと思いますが、これについて野生動植物との関係をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 野生生物の種を圧迫する要因といたしましては、開発あるいは都市化といったことによります生息地の消滅あるいは環境の悪化というようなことで、今御指摘の例でございますけれども、自然林や二次林の減少といったこともその大きな材料になっておるわけでございます。
 一、二例を申し上げますと、例えば南西諸島に生息しておりますノグチゲラあるいはヤンバルテナガコガネは照葉樹の原生林に生息する種でございますが、これら原生林が減少しておるというのが大きな要因になっているかと判断されます。そ
れから、丘陵地帯の二次林を中心に生息しておりますオオタカあるいはホクリクサンショウウオ、こういったものにつきましては、我々人間の生活域が広がるという形の各種の開発によりまして二次林が消滅する。その結果として生息地が脅かされるということではなかろうかと思っております。
 また、特に植物の中では、高山植物あるいはランなど非常に鑑賞的な価値がある、きれいだというようなことで、業者とかマニアが乱獲をするというようなことが圧迫要因になっております。
 また、こういった一般的な、積極的なといいますかそういった圧迫要因のほかに、逆に農山村におきましては下刈り等の山野の管理が行われなくなっておりまして、人手が入ることによって維持されておったある種の生息環境、これが失われることによる絶滅危惧というふうなことも考えられるわけでございます。一般的に言いますれば、そういった土地利用の変化、都市化に伴う土地利用の変化によって動植物の数が減っていく。それがいわば多様性の減少につながるということになるわけでございます。
○須藤良太郎君 私は今回の法案を非常に評価するわけでありますけれども、先ほども久保田先生等からお話がありましたが全体で六十種ぐらいの指定、こういうことになりますと、いわゆる世界なり日本で相当の種が絶滅していく中でこの六十種ぐらいの種に対する手当てというものはどういう意味を持つのか、こういうことも考えるわけでございます。もちろんこれは非常に重要なことであると思いますけれども、これからの地球が大きく変化しあるいは悪化していく中でのこの法案策定の意味というか目的、この辺をしっかりまた聞いておきたいと思います。
 しかし、先ほど申しましたように、いわゆる野生動植物、非常に重要な生態系の構成要素でありますから、ぜひひとつ法案で効果が上がるということを期待するわけでございます。
○政府委員(伊藤卓雄君) この法案のねらいとするところは、非常に象徴的な話でございますけれども、種の絶滅を防止するという地球環境的な問題にも対応しますとともに、国内の自然環境を守るというねらいもあるわけでございます。
 私どもとしてはレッドデータブックを頼りにこれからいろんな保護対策を進めていくわけでございますが、この法律の中にあります捕獲規制あるいは捕獲流通の規制、生息地保護のための地区指定、ここにおいてはその行為規制がなされるわけでございますけれども、そういった形で歯どめをするとともに、非常に少なくなったものについては積極的に保護増殖対策を進めていきたいというふうに考えておるわけです。
 もちろんそういったときに、基本方針という形で他の諸制度も巻き込んでいくというような形での考え方をとりたいというふうに思っておるわけでございますが、いずれにしましても、先ほど堂本委員への御説明で六十種というふうにお答え申し上げましたけれども、これは当面私どもがすぐにやれる、当面五年ぐらいの間にすぐに手をつけられるだけの材料、蓄積があるものという趣旨でございまして、その後逐次調査等を重ねまして、これは実は調査に関する規定は法律の四十九条に特別に書いたわけでございますけれども、その情報を集積して必要なものについてはさらに指定をしていくということも考えたいと思っております。
 したがって、急ぎませんとその過程におきまして従来希少種と思ったのが絶滅危惧種になる可能性もあるわけでございますので、この法律ができますれば早速この執行に努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○須藤良太郎君 それと自然環境保全法なり自然公園法、鳥獣保護法と、こういった法律が既にあるわけであります。特に自然公園は国土の一五%を占める。その中で自然環境の保全、保有、保存あるいは鳥獣の保護、こういうものをやってきておるわけでございます。こういう中でこの法案が出されるわけでありますから、この法案が全体の自然環境保全の法体系の中でどういう役割を果たすのか、その辺をひとつ明確にお聞きいたしたいと思います。
 もう一つは自然環境保全法、先ほどもお話がありましたけれども、ちょうど二十年になるわけでありまして、いろいろな面で成果を上げてきたというふうに思うわけでございます。こういう機会でございますので、ひとつ自然環境保全法、基本法としてもまた実施法としても非常に意義があったと思うわけでありまして、環境庁としてのひとつそのレビュー、評価をお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 自然環境保全法の効果の前にちょっと触れさせていただきたいのは、この種の保護に関しまして、この法律だけでなくて既存の自然保護制度を十分活用するようにと。そのことによりまして、良好な生態系の保護を図るべきだというふうな指摘は、実は審議会の答申の方でも出ております。
 先ほど先生お触れいただいたように、自然公園地域だけとりましても国土の一五%を占める。それから自然環境保全地域で言いますれば、現在パーセンテージが非常に低いわけでございますけれども、原生と自環地域で十四カ所、一万三千ヘクタールほどが指定されております。近々青森、秋田の県境にあります白神山地、これを自然環境保全地域に指定すべく審議会の手続を既に経まして、各省庁との最終的な協議に入っておるという状況でございますが、これもまた非常に有効な種の保護に係る武器であろうというふうに考えております。
 さらには鳥獣保護、これは種の観点からいいますと島とけものということではございますけれども、ここに指定されることによりまして他の種も一緒に守られていくということでございますので、これらの運用についても十分気を配っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
 次に、自環法の成果でございますけれども、必ずしも十分とは言いがたいといいながらも、実は私どもとしてはこの法律があったればこそここまで来た部分もあるだろうと。その第一は、四十八年十一月に決められました自然環境保全基本方針に基づき、さらにはその法律の五条の規定に基づきまして自然環境保全基礎調査というものを重ねてきたところでございます。これは俗称緑の国勢調査と言っておりますけれども、どこの国にもないような国土を網羅したデータということでこのデータが公表され、我々の政策決定だけでなくて、自治体その他での施策策定の基礎材料に使われておる。これは大いに誇れる材料ではないかというふうに考えております。
 それから、先ほど御紹介いたしました自然環境保全地域の指定、これは国ベースでは数は少ないと申しましたけれども、地方自治体のケースも非常に多うございまして、五百十一カ所、七万二千ヘクタールというような形で拡大をしつつあります。こういった過程で、市町村レベルにおいてもこの自環法の運用というものを非常に意識しておると。さらには、私どもが予算措置等でやっております「ふるさといきものふれあいの里」といったものを材料といたしました自然環境保全活動の拠点事業、いわば次代を託す青少年に自然教育をしていく拠点といったものの整備をしておりまして、これも自治体などが非常に乗り気になって取り組んでいる事業でございます。こういったことを通じて少しずつ着実に前進はしておるというふうに考えております。
○須藤良太郎君 ワシントン条約等の国際条約の点は先ほど大分詳しいやりとりがありましたので省略いたしますが、ナイロビのUNEPで二十二日にこの条約が採択されたわけでありますけれども、新聞によりますと、アメリカ、フランスあるいは英国もいろいろ問題があり、また途上国もグローバルリストにはだめだと、こういうような話が伝わっておるわけでございます。こういうものを踏まえまして、簡単にひとつ内容と状況等につ
いてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 生物多様性条約につきましては、地球上の生物の多様さ、それからその生息環境の多様さをあらわす概念というふうにとらえておりまして、特に生態系、生物種、遺伝子、この三つのレベルからその保全を図る必要があるというふうな考え方に立って整理がなされておるところでございます。
 先週までナイロビで開催されました最終の条約交渉会合におきまして案文が採択されたところでございまして、生物の多様性の保全、構成要素の持続的な利用及び遺伝子資源から得られる利益の公正で公平な分配を目的とするというようなことを掲げておりまして、具体的な内容といたしましては、多様性保全のための国家戦略の策定が一つでございます。
 それから、保全上重要な地域及び種の選定及びモニタリング、それから保護地域の指定や管理、生息地の回復、それから生息地が損なわれたりしてなかなか難しいという場合においては、場合によっては飼育下で保存をする、繁殖させるということも考えるということが指摘されております。さらには、途上国への技術移転とか資金制度というふうに事項が並んでいるところでございます。
○須藤良太郎君 それでは、あと若干具体的内容についてお聞きいたしたいと思います。
 種を指定していわゆる捕獲なり採取なり流通、輸出入を規制する。それから生息地を保護地区と指定して管理、監視する。また保護増殖事業も行う。こういう格好になるわけでありますけれども、先ほどもいろいろありましたが、種の指定につきまして数十種に絞り込むわけでありますけれども、我々は本当のところ、種がどうこうということは全くわからないわけで高度な専門知識を要することだと思います。
 そういうことで、この指定が具体的にどういうふうに決められるのかということをわかりやすく、簡単でいいですけれども教えてもらたいたいのと、いわゆる関心を持つ人が国民にもたくさんおるわけでありますから、そういう人にわかるような一つのPRといいますか情報提供、そういうものもこの指定の問題については非常に重要ではないか。こういうふうに思いますので、この辺を若干お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 種の指定に当たりまして心すべきことは、ただいま先生がおっしゃったように、非常にこの問題は難しい問題でございますのでできるだけそれをわかりやすくと。難しい問題をわかりやすくというのはなかなか大変でございますけれども、今後十分にPR等に努めていきたいというふうに考えておりますが、種の指定というのはどうしても各種施策の根幹に当たるということで、私どもとしては、審議会、さらには審議会に基づく専門的な先生方の御意見を踏まえていきたいというふうに考えております。
 基本的な考え方でございますけれども、やはり専門の先生方にお聞きいたしまして、生物学的な観点から絶滅のおそれがあるかどうか、緊急に保護する必要があるかどうかというようなこと。それから本法律をよく御理解いただいた上での話でございますが、こういった法律の規制になじむかどうか。また保護するとしても技術的に保護が可能かどうか。それから他の施策で守られているのかどうか。こういったことをいろいろ考えまして、こういった考え方を実は保存の基本方針で定めることにしておりますけれども、その基本方針に基づいてこういった観点からの判断をし、政令による指定という作業をしたいと思っております。
 具体的な話として申し上げれば、従来のレッドデータブックのデータも使いますけれども、さらに必要な調査を踏まえまして環境庁におきまして案をつくる。その上で関係行政機関との協議をし、審議会の諮問、答申を経て政令にこぎつける、こういう段取りで進むことになろうかと思います。
○須藤良太郎君 地区指定でいつも問題になりますのは、地区なり地域の人の生活権の問題あるいは利害関係の問題だと思います。そういう調整が非常に重要になると思いますけれども、端的に、この補償といいますか予算の面がしっかり確保されているということが一番重要ではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、こういう地区指定に当たってどういうような予算計上を考えておるのか、あるいはこの調整問題をどう考えておるかということを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 本制度によります指定は、他の自然保護の制度における指定制度と同じように、土地の所有関係を必ずしも問わず指定が可能だという形でございます。
 したがいまして、いわばある所有者のところを指定するということがあり得るわけでございますので、指定に当たりましては地元住民等の利害関係者の意見を十分聞く、いろいろな関係もございますので自治体の意見も聞く、それから関係省庁と協議を行うというような形で理解と協力のもとに調整を図っていくということを考えておりまして、必ずしもその土地を国有等にするということは前提になっておらないわけでございますが、指定をしていく上でどうしてもそれなら手放したいというふうなお話があれば、場合によっては自治体等による買い上げという制度もございますので、そういったものの現在は直接対象になっていませんが、そういった対象にしていくといったようなことも一案かと考えております。
○須藤良太郎君 もう一つは、やはりこういう仕事をやりますと、相当人員なり組織の確立、そういうものが必要になってくるというふうに思います。環境庁は多分国立公園ぐらいしか出先の人はいないんだと思いますけれども、こういう法律ができて地区指定がされると管理、監視をやるそういう場合の人の手当て、そういう面を相当強化しなきゃならぬだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 もう一つは、県段階、市町村段階、あるいは民間段階でもいいわけですけれども、いわゆる地区の管理、保護なりそういう面にはどういうかかわりを持つことを考えておるのか。その辺をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 法律を運用していく上では一番大事なところでございますけれども、この法律におきましては、希少野生動植物種保存取締官という制度を設けております。これは環境庁あるいはある部分につきましては農水省の御協力も得まして取締官を任命し、措置命令、助言指導等の仕事をやらせるということになっておるわけでございます。国立公園の管理官のお話も出ましたけれども、場合によっては部署によってそういった者を任命する部署があるかもしれませんけれども、必ずしもそれにはとらわれずにやってまいりたいと思っております。
 それからなお、国立公園の管理官というのは数が少ないということで、いわゆるレンジャーでございますけれども、林野庁の方から部門間配転という形で来ていただきまして、特に林野部門におけるお仕事はお得意でございますので、そういった方もふやしておりますから、そういった形での増強も考えていきたいと思っております。
 それから、環境庁関係の役人だけでなくて、民間の方の協力も得るということで、希少野生動植物種保存推進員の制度を設けることとしておりますので、こういった方のお力もかりたいというふうに思っております。
 それからもう一つは、ここに保護増殖事業というのがございまして、これについては民間の方も一定の要件があれば認定を受けてやることができるという形になっておりますので、こういった形で民間の保護団体の御協力を得て保護事業の実質を拡充していく、実効性をあらしめるということも考えられるんではないかと思っております。
○須藤良太郎君 この出先強化も含めまして、環境庁の機構の拡充強化につきましては後で時間がありましたら長官にまたお願いいたしたいと思いますけれども、この野生動植物の最大の基盤を抱えております農水省、林野庁に対してお願いというかお聞きいたしたいと思います。
 森林は野生動植物の最大の生息地でありますし、生育地であります。この貴重な野生動植物の保護を図っていくためには、森林の保全管理、これは極めて重要なわけであります。いわゆる基本的な考え方として、林野庁は野生動植物の保護のための保全管理についてどういうことをやってきたか、まずそこをお聞きいたしたいと思います。
○説明員(田中正則君) 先生御指摘のように、森林は野生動植物の生息地として重要な位置を占めております。そんなことから、野生動植物の保護を図っていくためには、適切な森林施業を通じましてその生息に適した環境を保全、形成していくことが極めて重要であるというふうに認識いたしております。
 このために、森林の取り扱いに当たりましては、森林計画制度などを通じまして、貴重な野生動植物が生息している森林について、地域の環境条件などに応じまして禁伐でありますとかあるいは択伐といったような施業を行っております。さらに、そういった野生動植物の生息環境の保全に配慮した森林の管理といったようなものに意を用いているところであります。
 林野庁といたしましては、今後とも貴重な野生動植物の適切な保護が図られるようにより一層きめ細かな森林の保全管理に努めてまいる所存でございます。
○須藤良太郎君 それで、国有林野が特に貴重な野生動物の生息地、生育地になっておるわけでありますけれども、いわゆる国有林野事業としてこの保護をどういうふうに図ってきたのかというのと、今回のこの法案に対しまして国有林野事業としての対応をどうするのか、その辺お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(弘中義夫君) 国有林野事業におきましては、大正四年に保護林制度というものを発足させております。自来、原生林や貴重な動植物の保護あるいは学術研究等の面で重要な役割を果たしてきたところでございます。しかしながら、原生的な天然林等の保存を初めとしまして、森林に対します国民の要請が多様化、高度化してきたことから、平成元年に森林生態系保護地区の設定を含みます保護林の再編拡充を行ったところでございます。
 この新たな保護林制度におきましては、保護林の目的に応じまして、森林生態系保護地区、森林生物遺伝資源保存林、林木遺伝資源保存林、植物群落保護林、特定動物生息地保護林、特定地理等保護林、郷土の森の七つに区分しまして、それぞれの設定目的に応じた管理を行うこととしております。
 その設定状況は、編成前に十六万七千ヘクタールありましたものを大幅に増加させまして、平成四年四月一日現在で九百二十九カ所、三十一万七千ヘクタールを指定し、全国の営林署、森林事務所等において保護、管理を行っているところでございます。
 具体的には希少な野生動植物の生息地、生育地を各種保護林としてゾーニングし、木材生産のための伐採の禁止、土地の形質変更の原則禁止等の制度を行うとともに、営巣木の保存や給餌木の植栽などを行い、多くの野生生物の保護を図っているところでございます。
 この法案に対する考え方でございますが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図る観点から各種の措置を講ずるものでございます。国有林野事業のこれまでやってまいりました政策の方向とも合致するものであることから、積極的に評価しているところであり、希少な野生動植物の種の保存を図るため今後とも保護林制度の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
○須藤良太郎君 くどいようでありますけれども、この国有林野の問題は国会でも相当問題になる大変重要な問題でございます。木材供給はもちろんでありますけれども、やはり自然環境の保護なりあるいは国土の保全、こういうことで非常に重要な機能をこの国有林野は持つわけでありますから、この多様な機能が十分発揮されるようなそういう方向でぜひ頑張っていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、もし何か決意でもございましたら。
○説明員(弘中義夫君) 先生御指摘のとおり、国有林野も木材生産の安定的な供給のみならず、そういう経済的な機能だけではなく、国土の保全、水資源の涵養、保健、文化、教育の場としての利用という多面的な機能を重畳的に有しているものであります。また、このような森林に対する国民の要請も近年ますます多様化、高度化しているところであります。
 そこで、昨年策定されました新しい国有林野事業の改善計画の中におきましては、森林の有する種々の機能が錯綜して分布する国有林野を一体として管理経営し、国有林野に求められる多様な役割を十分に果たしていく考えでございます。
 具体的には、森林が重複して有しております多面的な機能のうち、重点的に発揮させるべき機能を明らかにすることとしまして、国有林野を国土保全林、自然維持林、森林空間利用材、木材生産林の四つのタイプに類型化し、それぞれの機能の維持向上を図るのにふさわしい林業技術を用いて管理経営を行うこととしております。この木の類型に基づき、例えば国土保全林におきましては保安林の指定、治山事業の積極的実施。森林空間利用林におきましては、レクリエーションの森の指定、ヒューマン・グリーン・プラン等の推進。自然維持林につきましては先ほど申し上げました保護林の活用等々を行っております。
 今後とも、国民のコンセンサスを得つつ、森林の有する諸機能が総合的かつ最高度に発揮できるように適切な施業管理に努めてまいりたいと考えております。
○須藤良太郎君 よろしくお願いします。
 最後に、大臣に一、二お伺いいたしたいと思います。
 白書がきのう出されたわけでありますけれども、これは持続可能な未来の地球への日本の挑戦、こういうテーマで出されておるわけでございます。二十年前にストックホルム会議が公害対策を主体にいわゆる先進国の主導で開催されたわけであ