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中央環境審議会動物愛護部会ヒアリングでの意見

2005年9月27日

 2005年9月27日、中央環境審議会動物愛護部会が、動物愛護法改正に伴う動物取扱業の基準等を制定するために、関係団体からのヒアリングを行いました。当ネットワークからは野上ふさ子世話人が動物取扱業の規制強化及び野生生物の福祉当に関して以下のような意見を述べました。

中央環境審議会動物愛護部会ヒアリングでの意見


 当ネットワークは自然・野生生物保護に関わる全国45団体のネットワークです。本年の動物愛護管理法の改正に関し、2月22日付けで、衆参両院の関係国会議員に、5項目の要望書を提出していますが、これは生物多様性の保全と野生生物の保護の観点から、動愛法と関わる部分をあげて、法の改正を要望したものです。(資料1)
 なお、生物多様性国家戦略では、多様性の危機として、生息地の破壊・消失・分断化など自然保護に関する事柄の他に、乱獲・密猟、および外来種問題が指摘されています。乱獲、密猟、外来種等は、主として動物の商業利用に係わる問題で、野生鳥獣の違法捕獲、違法販売や、さらにはワシントン条約に抵触する種の密輸事件が多数発生しています。(資料2)
 また、外国産野生動物がペットとして売買される結果として、安易に野外に捨てられ、在来の生態系に大きな悪影響を与えたり、動物を媒介する病原菌やウイルスの侵入と拡散のおそれなど、感染症対策にも脅威となっています。
 これらは、動物の商業利用等によって引き起こされる問題ですが、責任を担う動物取扱業に対して実質的な法規制が何も存在しなかったことが、大きな課題でした。
 幸い、今回の動物愛護法改正により、動物取扱業が登録制、実質的には許可制となったことは、自然保護、野生生物保護の観点からも前進であり高く評価いたします。


1、動物取扱業について

(1)登録の要件について
 動物取扱業には、動物の適正な取扱いに加え、生態系の保全に対する社会的責任が課せられるべきです。本改正法に実効性をもたせるためには、動物取扱業の登録の際の登録要件の規定が特に重要です。登録の申請書式には、以下の動物種についての記載欄を設けていただきたい。
 ・動愛法で定めている特定動物(危険動物)、
 ・ワシントン条約の対象種(l類の繁殖種、II 類)、
 ・特定外来生物法で指定されている外来種(要注意種を含む)
 ・鳥獣保護法に定められている非狩猟鳥獣(飼養登録が必要な種)

(2)登録の拒否または登録の取り消しについて
 以下のケースについては、登録の拒否、登録の取り消しを行っていただきたい。
・本法令での違反はもとより、他の関連法令で有罪となった者の登録を拒否するべきです。法律で禁止している野生動物の輸入あるいは捕獲、飼育、売買を行う動物取扱業者があとをたちません。具体的には、鳥獣保護法に反して野生鳥獣を捕獲、販売する者、ワシントン条約及び種の保存法に違反して希少生物を密輸、密売等する者、特定外来生物法に違反して外来生物を飼育、売買する者等については、登録を拒否するべきであり、また登録後に有罪となった場合は、登録の取り消しを行うこと。
・動物の輸入、移送、保管等の場において、動物の健康及び安全に配慮せず、不適正な取扱いよって、いたずらに衰弱、傷病、死亡させるなどした業者は、登録を取り消すこと。
・施設の衛生や飼育環境に注意せず、不適正な取扱いにより、動物を人や家畜などにも被害を及ぼす感染症に罹患させたり拡散させた業者は、その登録を取り消すこと。
(鳥インフルエンザ、オウム病、狂犬病、ブルセラ病、Bウイルス病など)

(3)動物取扱業の範囲について
 所有者のいない野生動物、半野生動物の場合、捕獲という行為によって人の占有下に入り、動愛法の対象動物となります。それゆえに、野生動物を捕獲し、売買する業者は、本法で言う動物取扱業に該当することを明示していただきたい。(資料3)

(4)動物取扱責任者が受ける研修について
 動物取扱責任者には、顧客(飼い主)に対して動物の習性や生態に関する正しい情報と適切な飼育方法を伝える責務があります。研修は、以下の内容を必ず含めていただきたい。
・法令の改変や社会的意識の変化に応じて、研修を随時実施すること。
・研修内容の理解度を深めるため、またそれを判定するためにある程度の筆記試験等を取り入れること。
・国際的に認知されている動物福祉の原則についての内容を取り入れること。
・動物取扱責任者の研修には、ワシントン条約、種の保存法、鳥獣保護法、生物多様性条約、感染症予防法など関係法令の具体的な内容を入れること。

2、危険動物の範囲を広げること及び啓発普及

 今回の法改正では、当ネットワークが要望してきた、危険動物の飼育許可制を全国一律に条例で義務づけること、輸入、繁殖、流通等の実態把握のために、個体登録制を導入すること、が実現したことは高く評価いたします。
 一方、危険性については、哺乳類、鳥類、爬虫類に限らず、原則として、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれのある動物で飼育が可能な種は、無脊椎動物まで含めて、指定の幅を広げること、および遺棄の禁止措置の方策をとる必要があると考えます。

(1)危険動物の範囲の拡大
 鑑賞魚の遺棄によるコイヘルペスの拡散などが社会問題化しています。ペットが遺棄されたと見られるピラニアやヤシガニ(危険動物)がすでに野生化しています。飼育される可能性があるもので想定できる種は、それが属する科まで幅広く指定していただきたい。
・例:イノシシ科全種、ウミヘビ科全種、スッポン科全種、ヒキガエル科全種またはその内、毒腺のあるもの、アカエイ科全種またはその内、毒腺のあるもの、ダツ科全種、ゴンズイ科全種など。

(2)動物取扱業者の説明責任及び啓発普及
 特定外来生物法においては、指定種が少なすぎること、また在来種の国内移動については規制できないという限界があることから、動物の遺棄を禁止している動愛法で以下の措置を講じていただきたい。
 (a)両生類、魚類(鑑賞魚)、昆虫等の無脊椎動物に関しても、動物取扱業の責任として、遺棄の禁止とその理由を販売の際に顧客に伝えることを、基準に盛り込むこと。
 (b)愛護動物、特定動物の遺棄には罰則があることに加えて、全ての飼育動物について遺棄しないように、学校等を通じて啓発普及に取り組むこと。特に全国的に野生化しているミドリガメについて注意を促すこと。

3、動物の引き取り収容を拡大すること

 日本中で様々な野生動物がペットとして飼育される一方、飼育困難となり遺棄される結果として生態系への悪影響が拡大しています。遺棄動物を遺失物として届けられた警察でも、保管設備がないためペットショップにまた引き取ってもらうなどしています。
 これに対処するため、場合によっては犬猫以外の動物についても行政が一時的に保護収容できるように、以下の措置を講じていただきたい。
(1)地方自治体の条例で犬猫以外の動物を引き取っているところもあり、環境省としても、この部分では、条例での上乗せ規定が可能であることを積極的に指示すること。
(2)その場合は地元NPOなどの協力のもと、収容施設の整備をはかるとともに、適正飼育のできる新たな飼い主への譲渡を最優先すること。

4、捕獲された野生動物の飼育の福祉と処分方法を明記すること

 罠や檻で捕獲された野生動物の取扱が不適切で空しく死なせるばかりか、処分においてもしばしば餓死、溺死、撲殺死の方法が取られています。アライグマなど遺棄されて野生化した動物の場合、その捕獲と処分に関しては鳥獣保護法との整合性が不明であるため、現場で混乱をきたしています。
 野生動物は、捕獲という行為によって人の占有下に入り、その飼育や処分の方法は動愛法の規定に従うことになるはずです。捕獲された野生動物の一時的保護管理にあたっては動愛法に基づく適正な取扱がなされること、及び、処分する場合はできるだけ苦痛のない方法を取ることを定めた本法が適用されることを、ここで改めて明記していただきたい。(資料4)
 ちなみに、処分の具体的方法については、日本も加盟しているOIEの国際基準やアメリカ獣医師会の指針などの国際的基準に照らし、「処分方法の指針」の改正が急務です。

以上

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