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野生生物の流通規制等に関する要望書


平成15年(2003年)7月24日

環境大臣 鈴木俊一  様

「野生生物の流通規制と動物の適正飼養」の強化のための法制定
および関連法の改正を求める緊急要請書


 現在、さまざまな野生動物がほとんど何の規制もなく日本に輸入されています。野生動物の輸入や販売は、原産国の生態系を破壊するばかりでなく、国内でそれらの動物が遺棄されて野生化し日本の多様な生物相に多大な悪影響を与えています。環境省の資料では、哺乳類に限ると、移入種問題の3分の2は、飼育動物の遺棄・逸出に原因があるとされています。まさに移入種問題は、動物の不適切な飼養が、野生生物とその生息地の保全に悪影響を及ぼすものであることを意味しています。
 環境省では、来年の通常国会に向けて、移入種対策法を新法として上程する予定とされています。移入種動物問題の大半は、野放しの輸入、販売、不適切な飼育に原因がある以上、この部分に歯止めをかけることなしには、いかなる問題も解決できません。そして、動物の輸出入、販売、流通の実態を把握し規制をかけ、かつ遺棄の禁止、脱出防止のための適正飼育をはかるためには、その部分を所轄する「動物の愛護及び管理に関する法律」の見直しが必要不可欠です。
 現在、同法に基づいて動物取扱業者は都道府県への届け出制となっており、問題のある施設への立ち入りが定められています。移入種対策法の運用にあたって、この制度の強化と活用なしには、その実効性はほとんど期待できません。
 同法は1999年に議員立法で改正された際、附則として施行後5年を目途に見直しをすることが定められ、その際の検討事項として、衆参両院の附帯決議で、動物の飼養及び保管のあり方など外来種・移入種に関する対策を検討し適切に措置すること、動物取扱業者の届け出制についてもその有効性を検討の上、見直しをすることが記されています。

 上記をふまえ、私たちは、移入種対策法の制定にあたっては、
1)動物取扱業を許可制として、動物の輸入・流通の規制を行うこと、
2)動物飼育者に対して動物の福祉に配慮した適正飼育の周知徹底と、種の指定を行っ
て個体登録制にすることを要請いたします。
 現行の動物愛護管理法に適切な改正を加えられることは、同法が定める動物の愛護・福祉の精神に則った施策を強化すると同時に移入種対策に大きな実効力を与えることとなります。同法については諸々の問題が山積しており、いずれも早期の対応が必要なものばかりではありますが、移入種対策が現在緊急の課題となっていることは論を待ちません。そこで、上記の点に関しては同法の付則に定められた見直し時期にかかわらず特に緊急に対応されることを求めるものです。
 なお、外来種対策の一環としてすでに野外に逸出、遺棄された外来動物を捕獲する場合、虐待禁止規定等動物が生命ある存在であるが故に、その個体を保護する諸規定がこれら捕獲個体に対して今後とも適用されるべきことも、念のため申し添えます。



野生生物保護法の制定をめざす全国ネットワーク  代表 本谷 勲
  (全国の野生生物・自然保護44団体)      
動物との共生を考える連絡会           代表 青木 貢一
  (全国の動物愛護・福祉82団体)  



参考記事

駆除か愛護か立場超え連帯 ペット野生化防止へNGO
共同通信ニュース速報

 飼い主の飼育放棄などで野生化したペットが人間や在来の動植物に害を与えている移入種(外来種)問題について、全国百二十以上の市民団体(NGO)が連帯し、野生動物の輸入や販売の本格的な規制実現に向けて活動していくことが二十六日までに決まった。
 国内に定着した移入種への対応をめぐり、駆除すべきか愛護優先かで意見の隔たりがあったため、NGOでも一致した行動は難しかったが「移入種をこれ以上増やさない」という共通の目的に向け、立場を超えて協力することになった。
 移入種対策では、環境省が来年の通常国会に提出を目指し法案を検討中。NGO側も今後、独自の「市民法案」づくりに取り組むとしている。
 共同行動を決めたのは、自然環境保護関係の四十四団体でつくる「野生生物保護法の制定をめざす全国ネットワーク」(代表・本谷勲東京農工大名誉教授)と、動物愛護・福祉関連の八十二団体が加わる「動物との共生を考える連絡会」(代表・青木貢一獣医師)。
 在来動物の捕食や、えさを奪うなど問題を起こしている移入種動物の多くは、捨てられたり逃げ出したりして野生化したペットのため、輸入や販売など“上流”の規制強化と飼育の適正化が不可欠との意見で一致した。
 市民法案にはこれらの対策を盛り込む方針だが、共同行動の第一弾として二十五日には、ペット業者を現行の届出制から許可制にすることや、特定種のペットに個体登録制を導入することなどを環境省に要請した。
(了)
[2003-07-26-08:28]
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